スチュワードシップコードの策定に続き、東京証券取引所でもコーポレートガバナンス・コードの策定に伴う上場制度整備の方向性が示され、日本のコーポレートガバナンス改革が本格化してきた。中でも独立社外取締役の複数選任が原則とされる点については、かなりのインパクトを与えつつある。
この点について今までの議論で見過ごされがちだったが、今後の日本経済に大きな影響を与える可能性について指摘してみたい。それは経営者市場に与える影響である。
わざわざ指摘するまでもなく、わが国では経営者の企業間の流動性が極めて低い。欧米の企業のような、一つの企業でCEO(最高経営責任者)を経験した後で別企業のCEOに就任するというケースは、極めてまれだ。最近でこそサントリーホールディングスの新浪剛史社長らのように、異業種間で移動するケースがちらほらと出てきたが、ほとんどの経営者は長年同じ企業に勤め、そこのトップを勤め上げて企業人生を終える。
この点が今回のコーポレートガバナンス改革で大きく変わる。
東証1部、2部の上場企業のほとんどが複数の独立社外取締役を採用するとなると、延べにしてかなりの人数の社外取締役が必要となる。
もちろん学識経験者らが就くケースも多いだろうが、経営に実際に携わってきた人材に対する期待は大きい。そのため、他企業、場合によっては他産業の経営の経験者が独立社外取締役に就くだろう。つまり企業間を移動する人数はかなりになるはずだ。
もちろん社外取締役になるだけであって、本格的なCEOとして移るわけではない。また現役の経営者が就任するケースもあるから、純粋に移動と呼べない場合がある。
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