セブン&アイ・ホールディングスの人事騒動のキーマンが、社外取締役で指名・報酬委員会の委員長を務める伊藤邦雄氏(64)だというのは、衆目の一致するところだ。鈴木敏文会長の人事案にノーを突き付け、鈴木氏に退任後も「最高顧問」として残ってもらうという会社案に「影響力が残る」とダメ出し。一時期は伊藤氏の発言が経営の先行きを左右する勢いがあった。
一橋大学大学院特任教授の伊藤氏は会計学や企業経営論、コーポレートガバナンス論の専門家だ。社外取締役としてはかなりの「売れっ子」。現任は上場企業5社だが、2015年6月までは三菱商事と東京海上ホールディングスを含めて7社の取締役を兼任していた。そのうちの1社の役員は「企業側から見ると、安心できる無難な学者だった。それだけに今回の強硬さは意外」と話す。
鈴木会長との関係も当初は悪くなかった。セブン&アイの15年のCSRレポートで伊藤氏は鈴木会長を、「変化が起きてから対応するのではなく、変化の風が起きたとき、その最先端をいち早く嗅ぎ取って行動に移されているように見受けます。その感性の鋭さが、セブン&アイの大きな強みとなってきたのでしょう」と称賛している。
そんな伊藤氏にプレッシャーをかけたのは、米ファンド、サード・ポイントが昨年10月に公開した投資家向け報告書だろう。この中で伊藤氏は「『伊藤レポート』の筆者が社外取締役として入っていながら、セブン&アイの経営に変化が見られない」と名指しされている。
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