「食べるラー油」一発屋じゃなかったブームその後 日本の食卓にどのような影響を与えたのか
2012年以降、各社の参入により、固形状のものだけではなく、液状のポーションタイプのものなど形状も多様化しました。
また、味の種類も、キムチ鍋や寄せ鍋などの定番のものだけではなく、豆乳鍋や魚介鍋、上図ではその他に含まれるトマト鍋やカレー鍋など幅広くなっています。形状や味などさまざまな商品が販売されたことで、個食鍋つゆの商品の種類数は2020年には100を超えています。
個食鍋つゆを買っているのは誰?
このように市場拡大を続けてきた個食鍋つゆは、どういった層に購入されているのでしょうか。
インテージ消費者パネル調査「SCI」から、世帯構成別の購入率の推移を確認してみましょう。SCIとは、全国15〜69歳の男女約5万人のモニターから、継続的に収集している日々の買い物データです。購入率では、モニターのうち、個食鍋つゆを購入した人の割合を見ています。
どの世帯構成でも購入率は増加傾向となっています。2020年の購入率では、単身・夫婦のみ世帯が20%を超えているのに続いて、2世代同居世帯で16.1%、3世代同居世帯でも13.9%まで伸長しています。
単身世帯以外でも、共働きの世帯など家族1人ひとりの生活様式によって家庭で食事する回数やタイミングはばらばらで、用意する食事の量もその時々で異なっています。
小分けにされた個食鍋つゆは、そのときに必要な量だけ使用できることから、単身世帯に限らず、家族人数が多い世帯でも人気となったようです。個食鍋つゆは、世帯構成や場面を問わず、鍋を楽しめるようにした商品であると言えるでしょう。
今回は、過去のブームとして、食べるラー油と個食鍋つゆを取り上げました。一過性のブームとして終わらなかった両者に共通する特徴は、簡便さだけではなく、食の楽しみ方を広げたことが挙げられます。
コロナ禍でもオートミールや麦芽飲料など、ヒット商品が次々と登場していますが、生活に定着していくのか、それとも一時のブームで終わるのか――。今後の調査データから浮かび上がってきそうです。
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