早慶上智の志願者数が軒並み減少している理由 新設学部が志願者数の増加に貢献した大学も
背景にあるのは、よりいっそう強まった受験生の安全志向だ。来年度から大学入学共通テストが始まるため、受験生がハイレベルな競争を避けた結果、人気のブランド大や難関大が続々と志願者を減らす「ねじれ現象」となったとみられる。安田さんは次のように指摘する。
「推薦・AO入試の合格者が増え、センター利用の私大志願者は大幅に減った。そこから推測するに、浪人したくなくて、上位校を受験しなかったのでしょう」
文系は日大、理系は千葉工大が志願者数を増やした
こうした中、志願者を増やした大学もある。ランキング2位の日本大は昨年比15%増、約1万3000人志願者が増えた。昨年度は「アメフト問題」で大幅に志願者を減らしていた。教育ジャーナリストの小林哲夫さんが言う。
「せいぜい昨年並みに落ち着くかと思ってましたが、増えましたね。経済学部など、文系の学生が戻ってきたのではないでしょうか」
理系の単科大学で志願者を伸ばしているのが、14%増の千葉工大だ。試験日を自由に選べたり、1日の受験で受験料の追加なく全学部・全学科を併願できたりする制度があり、センター利用の志願者も好調だった。
「日大や東洋大、東芝電工(東京都市大、芝浦工大、東京電機大、工学院大)の併願校に位置づけられ、同じくらいのレベルの大学がほぼない。津田沼、新習志野の両キャンパスは駅前でアクセスもよく、東京にも近い。ロケーションも大きいです」(小林さん)
神奈川大は11%増。4月に国際日本学部の新設、2021年度にみなとみらいキャンパスの開設など、話題が絶えない。さらに小林さんは指摘する。
「横浜市、藤沢市、横須賀市など、地元の受験生が東京に行かず、神奈川大へ行く。首都圏の中での地元志向ですね」