｢セクシーな自己紹介｣ができる人が得なワケ 強烈かつ長期記憶に残る紹介をしてみたい

1）絵や写真、映像などのイメージ、2）一瞬で理解できるシンプルな言葉や数字、3）物語性のあるストーリーや具体的なエピソードです。

自分が長期記憶に定着させやすい暗記のポイントというのは、逆の発想をすると、他人に覚えてもらいやすいポイントということです。したがって、この記憶定着の3つのポイントを自己紹介にも盛り込むと、セクシーな自己紹介に変身します。

人生の危機がストーリーとして盛り込まれている

ジョブズのスピーチの例でいえば、大学を中退してカリグラフィを学んだことがマッキントッシュの美しいフォントを開発するのに役立ったという具体的なエピソードが、写真を使わなくても人々の頭にイメージを想起させるのに役立っています。さらに、「stay hungry, stay foolish（ハングリーであれ。愚か者であれ）」という印象的な言葉でスピーチ全体を締め括り、自身の生き様を一言で表現しています。このほかにも、最初に「3つの話をさせてください」と話すなど、シンプルな数字を使うことも相手の記憶定着に役立ちます。

そして、自身の養子縁組の出自、大学中退、自分の会社を追い出されたこと、がんと診断されたこと……といったように、いくつもの人生の危機がストーリーとして盛り込まれています。結果、人々の記憶に残るようなスピーチとなり、セクシーな自己紹介にもなっているのです。

もちろん、普通はジョブズのような人生におけるすごいネタはありませんが、それでも、イメージ、印象的な言葉と数字、ストーリーの3つのポイントを意識して用意すれば、人々の記憶に残る自己紹介は可能です。自分が座右の銘としている言葉、人生の中で失敗や困難に直面し、それを乗り越えたエピソード、それらを補足するようなイメージしやすい具体的なモノや場面などをあらかじめ決めておきましょう。

私の場合、極貧家庭で育ち、高校時代にはマーガリン醤油かけご飯だけ食べて飢えをしのいだといったエピソードをあえて話したりします。そこから、塾などに行かずに独学で勉強して東大とハーバード大学院（ハーバードは一度受験に落ちて）を卒業し、教育と学びこそが人々の夢を叶え、格差をなくす力になると信じて、日本財団で子どもの貧困対策などに取り組んでいるという自己紹介をします。