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「ストラディヴァリウス」が12億円もする必然 取引価格は10年前の倍以上に高騰している

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  • 田中 泰 日本クラシックソムリエ協会 代表理事

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6月16日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部でストラディヴァリウスを一堂に集めたコンサートが行われた。左端は諏訪内晶子さん(写真:共同通信)

高級ヴァイオリンの代名詞としてその名を知られるイタリアの名器ストラディヴァリウスの価格が近年大幅にアップしていることをご存じだろうか。一説によれば取引価格は10年前の倍以上。楽器の状態によって違いはあるにせよ、1挺あたり12億円以上で売買されているというのだからすさまじい。

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いったい何が理由でこの高値がつくのだろう。ほかのヴァイオリンとの違いはどこにあるのだろうか。今回は、クラシック史上最高のブランドであるストラディヴァリウスの魅力を追ってみた。

ちなみにストラディヴァリウス(ストラディヴァリ作といった意味)という呼称は日本独自のもので、海外ではストラディヴァリ、またはストラドと呼ばれることが多いようだ。

完全無欠な状態でこの世に登場した

まずは、ヴァイオリンの歴史をひもといてみたい。その発祥については、1510年以降ミケランジェロが活躍していた時代の北イタリアで誕生したという説が有力だが、確かなことはわかっていないようだ。

こつ然と完成品がこの世に姿を表したと言われているヴァイオリン(写真:日本ヴァイオリン)

興味深いのは、“ヴァイオリンは生まれながらにして完全無欠な形でこの世に登場した”という説。ほかの楽器と違って手本となる原型が存在せず、こつ然と完成品がこの世に姿を表したと言われているのだから不思議だ。

そのこつ然と現れた楽器を作り上げ、現代につながるヴァイオリンの構造と機能を確立した始祖と言われる人物が、ミラノ近郊の小さな町クレモナの名工アンドレア・アマティ(推定1505-1578)だ。1566年に彼が制作してシャルル9世に献上したヴァイオリンは、まさに現在のヴァイオリンとほぼ同じ姿だったというのだから驚く。

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【なぜストラディヴァリウスだけが特別視されるのか】

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