中国・インドの国境紛争、じわり再燃していた ブータン西部のドクラム高地でにらみ合い

拡大
縮小

「行き詰まっている。現在、全く動きがない」と、もう1人の関係筋は語る。

中国外務省はインドに撤退するよう繰り返し求めていたが、同省から対話についてのコメントは得られなかった。

インド軍は、道路が拡張されれば、北東部の同地域で中国軍が近すぎる存在となり、安心できなくなると主張している。

今回の対立は、1980年代に3500キロに及ぶ国境地帯で数千人規模の両軍兵士がにらみ合って以来、最も深刻なものだと、軍事専門家は指摘する。

環球時報が敵対的な解説を矢継ぎ早に掲載

中国はインドが道理をわきまえることを期待して、戦争に突入するのをとどまっていると、中国共産党機関紙「人民日報」系の国際情報紙である環球時報は8日伝えた。同紙は敵対的な解説を矢継ぎ早に掲載している。

「コントロール不能に陥りつつある状況から発せられる警告をモディ政権が無視し続けるなら、中国が報復措置に出ることは避けられないだろう」との見方を同紙は示した。

アジアの経済大国である中国とインドの2国間貿易が急増しているのとは裏腹に、今回の国境地帯における危機は、両国の外交関係が悪化した1年を象徴する出来事といえる。

インドは、最大のライバルであるパキスタンと中国との関係に懸念を強めており、インドが領有権を主張するカシミール地方を通る彼らの通商回廊は領有権の侵害とみなしている。

モディ首相は、中国の習近平国家主席が主導するシルクロード経済圏構想「一帯一路」に参加するのを拒否した。

一方の中国は、インドに対し、日本を含む米国主導の西側の軍事同盟に近づかないよう求めている。モディ首相は日米との関係強化を模索している。

次ページ今回の対立の行方は?
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT