ぜいたく禁止令で消費不振に陥った中国 共産党指導部による綱紀粛正の強化で広がる波紋

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汚職摘発は実際、生半可なものではなかった。昨年11月に共産党大会が終了した後、ほんの30日間で9名以上の高級幹部が「落馬」した。「落馬」とは汚職が摘発されて失脚すること。9名の中には、広東省農村農業委員会主任や四川省副書記、また山西省公安庁副庁長兼太原市公安局局長など、そうそうたるメンバーが含まれていた。こうした状況の中で、共産党幹部は浪費を続けるような無用なリスクを取らず、鳴りを潜めることになった。

官僚や国有企業の宴会が激減

象徴的なのが、今年の春節(旧正月)期間の外食ビジネスの低迷だ。春節は例年、公私ともに宴会が毎日続く時期のはず。しかし、今年の春節期間(2月9~15日)では、中華料理の最高級食材であるフカヒレの消費量が、2012年の同じ時期に比べて7割も減少、乾しアワビやツバメの巣がいずれも4割減まで落ち込んだ。官僚や国有企業がらみの宴会が激減したことが原因だ。統計上でも綱紀粛正の影響は顕著。昨年1年間の外食売上高は前年比で15.1%増も伸びていたのに対して、今年3月は前年同月比8.7%増の1861億元にまで落ち込んだ。あっという間に伸び率が半減したわけだ。

不要不急の出張も禁止されたため、一流ホテルの外食レストランなどの落ち込みは特に鮮明だ。国家旅行局が発表した第1四半期の北京や上海、江蘇、広州などでの4~5つ星クラスのホテルのレストラン売上高は前年同期比3割も落ち込んでいる。

今年に入っても共産党指導部による綱紀粛正の強化は止まっていない。国務院弁公室は3月28日に「国務院工作規則」なるものを発表。中央政府の各行政部門に対して官官接待の改善を要求、公金による贈答品や宴席の要請を禁止するとともに、地方においても公金による贈答品や宴席を開くことを禁止した。現地視察の際には、随行人員をできるだけ少人数とし、接待を簡素化することで地方の負担を軽減する。逆に地方の責任者も空港や埠頭、駅などでの送迎を控える。そのほか、仕事以外の名所旧跡や風光明媚な地域の観光は控える。逆に言えば、官僚が今までいかに現地視察や出張の名を借りて、贈答品の交換や大宴会、名所旧跡巡りの観光旅行に興じていたことがわかる。

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