「その職種で働けるかは、年齢と容姿の問題。容姿がよければ、飲み屋(キャバクラ)ができる。容姿と体型が悪かったり、中年女性だったりすると、うちのような抜き屋(ピンサロ)しかない。抜き屋には飲み屋は当然、ソープもできない子が流れてくるわけ。うちは本番店だから、松山では最下層ですよ。うちにいる女の子たちは学歴ないし、容姿もよくない。みんなほかに行き場所のない子たちです。だから、店をやってしまった以上、女の子への責任はあると思っている。ほかに行き場所のない貧困の子たちがうちで働いているから、摘発されるまで続けるしかないですね」
上地氏は高校中退によってレールから外れた。10代後半から雇用がなくて苦労している。さまざまな職種を転々として20代半ばに松山の夜の仕事に足を踏み入れ、31歳から風俗店経営をしている。
「沖縄は、僕が子供の頃からずっと貧しい。観光産業が潤っても、基本的に内地の会社が儲かっているだけ。沖縄の人間はそういう会社に安くコキ使われているだけ。自分で商売しようという知恵も勇気もないし、本土の人間に利用されやすいわけ。自分もずっと貧しかったから、行き場所のない女の子たちには情が入る。貧しい女の子たちを助けているといっても、売春斡旋だから売春防止法違反。それと無許可営業だから風営法違反がつく。警察に捕まれば、よくて執行猶予、悪くて実刑1年くらい。それは仕方のないことですね」
上地氏は那覇市内で飲食店と風俗店を3店舗経営する。容姿に恵まれない貧困女性たちが集まるこのピンサロは、ほとんど儲かっていないという。
夜10時から子供を保育園に預ける
22時半、照屋由美子さん(33歳、仮名)が出勤する。早足に待合室へ入ってワンピースの下着に着替える。照屋さんは5歳の子供がいるシングルマザーだ。週に何度かの出勤日は、21時過ぎに子供と一緒にアパートを出る。バスで松山へ向かい、繁華街の近くにある夜間営業する保育園に子供を預ける。子供が保育園で眠る間、22時半から閉店の朝5時までピンサロで本番を売る。
沖縄の離婚率は全国1位だ。2013年は人口1000人に対して2.59組が離婚している。2位は北海道2.09組、全国平均1.84組で圧倒的な都道府県1位だ。繁華街近くにある保育園は、続々と風俗嬢やキャバ嬢のシングルマザーたちが子供を預けに来る。20~21時半が保育園のピークとなる。照屋さんは「お客が来るまで」という条件で、取材に応じてくれた。
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