生徒にLINE1600回は「ストーカー」になるか 「抱きしめ」や「マッサージ」はどう扱われる?
「まず、LINEのメッセージを非常識なほど執拗に送ることは、『つきまとい等』の8類型のうち、『電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールを送信すること』(同法2条1項5号)に該当するかを検討するべきでしょう。
この条文では文言上、『電子メール』のみが禁止の対象となっており、『電子メール』の定義がないことから、文言に忠実に考えるとLINEメッセージなどのSNSによる連絡は対象外となるとも考えられます。
しかしながら、メッセージの内容によっては、『その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと』(同法2条1項2号)、『面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること』(同法2条1項3号)に該当する可能性もあります。
ただし、『つきまとい等』に該当するためには、『恋愛感情その他の行為の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的』が必要です。したがって、恋愛感情ではなく、単なる嫌がらせ目的でLINEのメッセージを送り続けた場合には、ストーカー規制法の規制対象とはなりません」
抱きしめ、マッサージ…その違法性は?
女子生徒を抱きしめたり、マッサージをしたことについてはどうだろう。
「『抱きしめる』、『マッサージをする』という行為は、ストーカー規制法上は、明示的に規制対象とはされておりません。しかしながら、嫌がるのに無理やり力づくで抱きしめたり、マッサージをしたりすることは、その態様によっては、8類型のうちの『著しく粗野又は乱暴な言動をすること』(同法2条1項4号)に該当する可能性があります。
なお、ストーカー規制法が適用されない場合、たとえば、恋愛感情がなく、単に嫌がらせ目的でLINEのメッセージを執拗に送り続けた場合であっても、迷惑なメッセージを執拗に送り続けることで受信者をノイローゼにさせてしまうなど、生理的機能に障害を生じさせた場合には、傷害罪(刑法204条)が成立する可能性があります。
また、相手の意思に反して抱きしめる行為は、無理やり行うなど、その程度によっては、強制わいせつ罪(176条)に該当する可能性があります」
東京都新宿区、四ツ谷駅至近にて、浅野総合法律事務所を設立、代表弁護士として活躍中。
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