「発達障害の子ども」に世界はどう見えているのか 「家・学校・社会」の3シーンから当事者の知覚世界をひもとく

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「うちの子、もしかしたら発達障害かも…」そう思ったときに知っておきたい知識をご紹介します(画像:CORA /PIXTA)
「うちの子、もしかしたら発達障害かも…」「動き回ったり衝動的な言動が多かったりして、どうサポートしたらいいかわからない」「学校の勉強についていけていないみたいで心配」
子どもの発達障害はデリケートなトピックです。そのため、あまりふれないほうがよいのかも…と遠回しにしてしまうこと、多くありませんか?ですが、不可解な行動やイライラしてしまう言動——それらにはすべて、理由があります。さらにいえば、あらゆるアクションの裏側には子どもたち一人ひとりの思いが隠されているのです。
今回は、発達障害の子どもたちが見ている世界について、長年、発達障害当事者と接し、臨床経験も豊富な精神科医・岩波明氏による最新刊『発達障害の子どもたちは世界をどう見ているのか』よりご紹介します。
初回の今回は、ASD(自閉症スペクトラム障害)・LD(学習障害)・ADHD(注意欠如多動性障害)の当事者の知覚世界を「家」のシーンから切り取ってみましょう。

ASDの子どもたちが「家」で見ている世界

ASDの子どもたちの顕著な特徴の1つに、「人に対する関心の薄さ」があります。ですから、定型発達者のお子さんと比較をすると、「親しげな親子関係」は成立しにくいと思います。

さらに、ASDのお子さんは、特有のこだわりを持っていることが多いです。

事であれば、ものを食べる順番であったり、何を食べるかであったり。
整理整頓であれば、ものの置き方など。ぴったり90度でないとダメといったことがあります。

入浴であれば、清潔感が気になって、身体をすみずみまで洗うといったこだわりです。その結果として、入浴時間が非常に長いケースも見られます。

彼らはそのような〝マイルール〟を乱されるのがすごくイヤなので、自分で決めた事柄が少しでも変わってしまうと激怒することがあります。

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