「発達障害の子ども」に世界はどう見えているのか 「家・学校・社会」の3シーンから当事者の知覚世界をひもとく

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〈書字障害のお子さんが見ている「世界」〉 

書字障害のお子さんは、

「言葉を理解していても、文字を書けない」
「鏡文字を書いてしまったり、勝手な文字を書いてしまう」
「黒板やプリントの字が書き写せない」
「形の似ているひらがなやカタカナ(「め」と「ぬ」など)を書き間違える」
「小さな『っ』の音、最後が『ん』の音、『しゃ』など2文字の音が書けない」
「ひらがなは書けても、漢字が書けない」
「漢字のへんとつくりが逆になる」
「書き順が覚えられない」
「文字の形や大きさがバラバラになったり、マス目からはみ出す」 
「文章が読みにくい、句読点が抜ける」
「文法的に誤りが多い」
「話していることを書き記せない」

といった「世界」を生きています。

ただ、ひとくちに「書く」と言っても実はさまざまで、お手本の文字を書き写す、自分の考えをまとめて書く、先生が話したことを書き記すなど、多岐にわたります。

お手本の文字を書き写せない場合、視覚認知の問題が絡んでいる可能性があります。「アルファベットのbとdが認識できない」「漢字の細かい部分が認識できない」「漢字のへんとつくりを入れ替えて書いてしまう」といったことが起こります。

また、先生が話したことを書き記せない場合、聴覚認知の問題が背景にある場合もあります。

「先生が話したことを書き記す」とは、耳から入った音について、いくつかの変換候補(語群)の中から1つを選んで文字に変換し、そのとおりの文字として書き記すというプロセスを踏むわけですが、書字障害のお子さんは、次々と入力されてくる音の情報の変換がうまくいっていないのかもしれません。

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