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思考力が強い人が「箇条書きメモ」を駆使する訳 あらゆることを「明確」にできる2つの方法

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こうして出来上がった粗筋の項目を土台にして、一つひとつの章や場面の、重要性や感想について、自分の言葉で書くリストを並列させて作ってみてください。「内容に対する意見」「自分がそこから敷衍(ふえん)して考えたことを記入する項目」といったような、自分が本から受け取ったものを列挙してみます。

例えば私が読書をしているときに作ったリストの一部分は次のようになっています。

スタニスワフ・レム『ソラリス』
● 1章「やってきた男」
  →惑星ソラリスにケルヴィンが到着する。人気のないステーション。酔っ払った学者スナウトと会う。まるで幽霊に会ったような反応。ギバリャンがすでに死んでいることを知る。ここでは何かがあった。彼らは何を恐れている?
  →台詞:「もしも別の誰かを見かけたら〜」他に何かがいるという警告。
  →印象:通読後にみなおすと、最初の数ページですべてが予告されていることがわかる。知性で理解できないものと出会った科学者たちが陥った狂気。それが情景描写から何も知らない読者にすでに伝わるように仕掛けてある。

こうして出来上がったものを見てみると、それは本について書かれたメモというよりも、自分自身がその本を読んだ体験が取り出され、箇条書きになっているものであることに気づくと思います。

リストの効果を通し、これまで届かなかった世界へ

粗筋を知りたいなら、ウェブを検索することで、たいていの本について見つけることができます。しかしこのリストに書き留められているのは、「粗筋」にとどまりません。本の内容と、触発されて自分が考えたことがすべてまとまっていると同時に、どこまでが本の中身で、どこからが自分の感想なのかが明確に分離されています。

いわば、読書経験そのものがリストという形で見やすくなって保存されているのです。

今度はなにが起こったのかというと、頭の中で考えるだけでは作ることができなかった「情報の構造」と「感想」との関係が、箇条書きにすることを通して立体的に取り出されたのです。

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例えばこの本を数年たって誰かに紹介する場合、記憶に頼っているだけならあらすじや場面、セリフの詳細といったものはあやふやになっているでしょうし、本を読んだときに生まれた感興と、自分の感想とが分離できずに混ざり合っている可能性が高いでしょう。

そのとき、このリストを使えば項目を上から追ってゆくだけで、本の内容と感想とを流れを追って追体験し、説明することができます。これがリストのもっているもう一つの基本的な働きである「考え事をハッキリとさせる」という効果です。

記憶に頼るのでは忘れがちで、頭の中で考えるには複雑すぎる思考を、リストという形で取り出すことで、簡単に扱えるようになるのです。

「スッキリさせる」と「ハッキリさせる」に大きく分類できるリストの効果ですが、この2つの力を通して、リストはこれまで届かなかった世界へ手を伸ばす、踏み台のような役割を担ってくれるのです。
 

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