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ライフ #東京「夢見る女子」の生態

名古屋で鍛えた地下アイドルが東京で見る夢 メイド志望だった少女は闇を吹っ切り生きる

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「あ、ここ引っ越しちゃうんですよ」

兎乃さんが急に言うので、驚きました。しかも、メイド喫茶も今月末で辞めると言います。

「貯金? してないです。オタクだから」(写真:川本史織)

「仕事はメイドだけですよ? 週4~5日くらい働いてて、地下アイドルの稼ぎもあるにはあるけど、でもメイドの稼ぎがほとんどです。家賃ももちろんそれで払ってます。貯金? してないです。オタクだから」

CDが詰まった段ボールと兎乃さんを交互に見て、私のほうが困惑します。まだ引っ越しの準備が進んでいる気配もありません。

「新しい部屋も決まってて契約してたのに、持ち主の都合で売却することになったらしくて新しい家がまだ決まってなくて、でもここはもう来月の頭には引き払わないといけなくて、どうしよう。引っ越しの業者も決まってないし、荷物っていったん預かってくれたりしないのかな」

来月の頭、というのはもう10日後くらいのことです。どうしてこのタイミングでメイド喫茶まで辞めちゃうの……。兎乃さんはすがすがしくしていて私のほうがこれから引っ越さないといけない人みたいでした。

一気にいろいろ一新したいタイプなんです

「そう。私もそう思ったんですけど、メイド喫茶を辞めるからこそ、引っ越しも決めたところがあるかもしれない。一気にいろいろ変えたくて、人間関係も一新したいタイプなんです」

ライブだけはどんどんやっていきたいと思ってます。これからのことについて兎乃さんが具体的に口にしたのは地下アイドル活動のことだけでした。

とりあえず家具とかかわいいから、丁寧な引っ越し業者が見つかるといいね。なんだかトンチンカンな言葉しかかけられなかった私に、「あ、これ家具付きの部屋なので、私のじゃないんです」と兎乃さんはあっけらかんと言いました。

あんまり荷物持ちたくないから、とも。地下アイドルの世界を生き抜くためには、どんどん手放して身軽になっていくことが大事なのかもしれません。大好きな相方と地下アイドルの世界で生きていく兎乃さんのこれからの道が、今度は大人の都合で絶たれないようにと願いました。

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