特にXでは、怒りや対立を煽る投稿ほど拡散されやすいことが、学術研究によって指摘されている。2025年に学術誌「PNAS Nexus」で発表された研究では、アルゴリズムによる投稿の表示は時系列表示に比べて怒りや敵意を含む投稿を増幅する傾向が確認されている。
前述したように今回のカワラボ全体のX休止についても、特定の出来事が原因ではないと説明されている。しかし、メンバー個人の言葉をより安心して届けられる環境を考えた結果、Xだけ発信を休止するという決断に至ったことは重い。
筆者はライターとしてアイドルなどを取材するが、Xの心無い声にメンタルを傷つけられたという声はよく聞く。そして誹謗中傷を受けたSNSは圧倒的にXの場合が多い。実際、XはほかのSNSと比較しても、誹謗中傷が目立つ場所になっている。
三菱総合研究所が24年11月に公表した「インターネット上の違法・有害情報に関する流通実態アンケート調査」では、どのサービスで誹謗中傷を目撃したかという質問に対し、最も多かったのはXの66.0%で、2位のYouTube(27.7%)を大きく引き離した。Instagramは14.6%、TikTokは11.4%にとどまっている。
もちろん、サービスごとの利用者数や利用頻度も異なるため、この数字だけでXの誹謗中傷の発生率が最も高いと断定することはできない。しかし、少なくとも誹謗中傷を目撃する場所として、Xが突出していることは明らかだ。
わざわざ捨てアカウントから攻撃してくる人も
Xを使ったことがある読者の中には「そんなアカウントはブロックすればいいのでは?」と考える方もいるだろう。そこで問題になってくるのが「捨てアカウント」の存在だ。
匿名で新たなアカウントを作り、特定の人物を攻撃する。ブロックされれば別のアカウントを作り、同じような行為を繰り返す悪質なやり方だ。こうした行為に対し、Xは十分な対策を取っていない。
例えばInstagramでは、特定のアカウントをブロックする際、その利用者が保有する別のアカウントや、今後作成するアカウントもまとめてブロックする機能が用意されている。つまり、捨てアカウントを使った繰り返しの接触を防ぐ仕組みがある。
TikTokにも、不適切なコメントを自動的に振り分ける仕組みがある。利用できるアカウントは限られるが、すべてのコメントを一度非表示にして、投稿者が承認したものだけを表示する機能も設けている。


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