一方、Xにもブロックやミュート、不快な通知を除外するフィルター機能が存在する。また、嫌がらせを禁止し、悪質なアカウントには凍結などの措置を取るとしている。ただ、現在のXでは、ブロックした相手であっても、公開アカウントの投稿を閲覧できるという不可思議な仕様をとっている。また、Instagramのように、ブロックした利用者の別アカウントや将来作成するアカウントまで一括して遮断する仕組みはなく、捨てアカウントを作れば誹謗中傷が再開されてしまう。
さらにXに誹謗中傷を通報しても、投稿が削除されるケースは大変まれだ。26年6月に公表された国内のデータでは、約7600万件の通報に対し、削除や非表示などの対応が行われたのは約7万9000件。つまり約0.1%しか削除していない。被害を訴える側が攻撃だと感じていても、プラットフォーム側が問題なしと判断しているのが現状だ。
誹謗中傷を受けた利用者が通報しても、投稿が削除されず、攻撃が続いてしまうのであれば、通報機能があるというだけでは十分とはいえない。また法的な手段を取ろうとしてもタレントに向けられる誹謗中傷の数はその人気に比例していき、その一つひとつに対処するには莫大な労力、そして時間を必要とするため難しい。
そもそも、なぜ被害を受けた側が、何度もブロックや通報を繰り返さなければならないのか。誹謗中傷をする側はアカウントを変えて再び攻撃できる一方、被害を受ける側はそのたびに対応を迫られる。この構造そのものに問題がある。
誹謗中傷に対し、厳正に対処するしかない
SNSで誹謗中傷が増え続ける中、芸能事務所も対応を迫られている。4月にはスターダストプロモーション、LDH JAPAN、10月にはSTARTO ENTERTAINMENTがそれぞれ誹謗中傷や、未確認情報の拡散などに対し厳正な対応をすると発表している。それほど事態は深刻なのだろう。
今回のカワラボに限らず、タレントがXから離れることに対して筆者はむしろ賛同する。現在のXは治安が悪く、メンタルを削られる場所になっているからだ。
タレントにとって、Xはファンと直接つながり、新たなファンを獲得するための重要な場所でもある。それでもカワラボは所属メンバー全員の個人発信を休止するという決断に至った。そのこと自体が、現在のXを取り巻く環境について、私たちに問いかけているのではないだろうか。
誹謗中傷を繰り返す人間はそのままXに残り、一方、被害を受ける可能性のあるタレントはXでの発信をやめていく。カワラボのX休止を、単なるアイドルのSNS運用方針の変更として片づけていいものではないだろう。
本当に変わるべきなのは、発信を休止したアイドルたちではなく、誹謗中傷を繰り返す人たちと、それを十分に防げていないXの仕組みのほうだろう。


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