「かつては、『結婚するなら結婚式を挙げるのが当たり前』という社会的な価値観や慣習が根強くあったと思います。しかし今は、結婚式以外にもフォトウェディングや旅行、家族との会食だけなど、結婚を祝う選択肢が増えています」
「せっかく結婚式を挙げるなら絶対に後悔したくない」
片山さんは、こう続ける。
「自分たちにとって本当に意味があるのは結婚式なのか、それとも別の形なのかをじっくり考えて、祝い方を決める方が非常に多くなっています」
結婚式以外の選択肢も広がっているが、前述の通り結婚式を挙げる人の割合自体は大きく変わっていない。しかし、片山さんは、結婚式を選ぶ人たちの意識には変化が生じているとみる。
「多様な選択肢があるなかで、それでも結婚式を選んでいる人は、むしろ以前より明確な意思を持って結婚式を位置づけていると感じます」(片山さん、以下同)
こうした意識の変化は、結婚式の規模にも表れている。今回の調査では、「披露宴(ウェディングパーティー)の招待人数」は平均60.4人となり、前年の56.2人から4.2人増加した。招待人数が30人未満の割合は前年の24.4%から21.5%に減少。一方、90人以上の割合は16.8%から19.3%へ増加している。
「コロナ禍では家族婚や少人数婚の需要が高まりました。ただ、招待人数については、コロナ禍をきっかけに一度縮小したものの、徐々に回復してきています。もっとも、30人以上60人未満、60人以上90人未満の割合は、前年から大きく変わっていません。
つまり、大人数の結婚式が急増しているというよりも、もともと中心だった中人数帯は安定していて、コロナ禍で一度減った大人数帯が少し回復してきたというのが私たちの見方です」
そのうえで、結婚式の平均総費用が増加した背景について、片山さんは物価高だけが理由ではないと指摘する。
「実態調査やユーザーインタビューで話を聞いていると、『せっかく結婚式を挙げるなら絶対に後悔したくない』という思いが非常に強いんです」
こうした「後悔したくない」という意識の背景には、SNSの存在もあるという。
「新郎新婦はSNSを使いながら育ってきた若い世代ですから、結婚式に対する率直な感想や評価が共有されやすい環境にあります。そうした投稿を日常的に目にしている分、ゲストとして結婚式を評価する視点が自然と培われているように感じます。
そうすると、『ゲストには絶対に喜んでもらいたい』『満足してもらいたい』という気持ちが強くなるのではないでしょうか」

