ただ、そこから一直線に売り上げが伸びたわけではない。コロナ禍もあった。小さな工房では生産量を一気に増やすことも難しい。
さらに、寒さの厳しい地域ならではの課題も残る。冬の1月から3月は客足が鈍り、観光地の飲食店向けの需要も落ちる。是本さんは、その時期の収入をどう補うかが、今も課題だと話す。
役員報酬は半分 それでも自由を実感する
現在、是本さん自身の役員報酬は、会社員時代の給与の半分ほどだという。会社の売り上げが、そのまま自分の収入になるわけではない。開業時の大きな借入金は、取材時点で「あと2年ほどで返し終える見通しです」と話した。
収入が会社員時代に追いついていなくても、「独立してよかったと思う」と話す是本さん。その理由を尋ねると、「自由」だと答えた。
「何事も自分の意思で決められます。裏を返せば、何事も自分で決めないといけません。責任は大きいですけど、お金の心配以外は、本当に最高です」
もっとも、働く時間が短くなったという話ではない。起業してから今まで、働き方はあまり変わらず、毎日16時間ほど仕事をしているという。
朝6時から動き始め、食事や近くの温泉で気分転換を挟み、また仕事に戻る。定休日の月曜も、宇都宮の調理師専門学校でチーズを教えることがある。土日はイベントに出店し、出張で製造できなかった分を、戻ってから取り返す。
比較的落ち着く冬に、2、3日の休みを取ったり、故郷の九州に帰ったりする。体が資本なので、もう少しペースを落とさなければという思いもある。それでも、時間があれば新商品の開発をしたくなる。


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