自分への直接的な金銭的見返りがなくても、社会に価値を生む事業を支える。その選択が広がれば、従来は支援を得にくかった取り組みにも資金が集まるかもしれない。深井氏はCOTENの運営を通じて、その可能性を確かめようとした。
支援の輪は広がり、同社の会社説明資料によると2025年1月時点で個人CREWは約1万2000人、法人CREWは約100社が参加。個人CREWは、2026年5月時点で1万5000人を超えている。
また2023年にはCOTENの理念と世界史データベースの価値に共感する投資家らから1.2億円の資金調達も実施した。
AI時代だからこそ価値が高まるデータベース
「作ってどうするの?」「何の意味があるの?」——。当初は懐疑的な声も多かったという世界史データベース。しかし、ここに来て、データベースの意義や果たす役割にスポットライトが当たり始めている。
状況を変えたのは大規模言語モデル(LLM)の登場だという。
「LLMが登場したことによって、AIに精通した人たちにはデータベースの意義がめちゃくちゃ伝わるようになってきました」
AIに分析を任せていると、人間が歴史的な事実とみなしている情報と、陰謀論や神話などを正しく区別しないまま使われてしまう恐れがある。そうならないためには、人間が確認した情報のみをデータベースに記録していく必要があると語る。
「法律の分野の話で例えると、判例データベースみたいなものを持っていないと、LLMに弁護士をさせられないという話に、すごく近いんです」
2026年10月、COTENは都内でメディア向けの説明会を開催した。深井氏自身、メディア露出は極力避けたいとたびたびポッドキャストでも語っているが、なぜこのタイミングでメディアを集めたのか。
後編では、深井氏が企業に求める変化と、その実現を阻む経営判断の仕組みを掘り下げる。


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