70年代の終わり、フィアットはピアノと、パートナーである構造設計家のピーター・ライスとともに「VSS」というスペースフレーム構造のハッチバック車のプロジェクトを推進したこともある。
グランデ パンダを眺めていると、そんなことがパッと頭に浮かぶ。実際は、装飾的な部分を取り払うと、このクルマのシルエットはかなりバランスがよく、言ってみればまとも。だから、細部をいじっても、奇妙なことにならないのだ。
色気を感じさせる、フィアットのにくい演出
フィアットが好きな人は“色気がある”みたいなことを言う。確かに思い返すと、昔々、たとえば70年代に「フィアット」と聞くと、イタリア的なある種の官能性をイメージさせた。
たとえば、矢沢永吉のセカンドソロ(76年)に収録されている「真赤なフィアット」だ。「毛皮のコートと/ダイアの指輪と/真赤なフィアット」という西岡恭蔵作の歌詞が、矢沢本人が作曲した軽快なテンポで歌われる。かつて好きだった女性との楽しい思い出の比喩として「赤いフィアット」が登場する。聴いていると、“あ〜、っぽいなぁ”と思ったものだ。
もうひとつ思い出したのは杏里の「エスプレッソで眠れない」(82年/シングル・カットの発売日)。鈴木慶一のメロディに、糸井重里による「赤い靴はいてた男のコ/ライムグリーンのフィアットで/さよならしたまま/帰ってこない」と言う歌詞。フィアットは男女の別れにおいて、際立つ存在なのか。縁起でもないけれど……。そんな当時の思い出が車内にも詰め込まれている。ここも面白いところだ。
グランデ パンダのラインナップは、快適装備が簡略化された「ICON」(369万円〜)と、LEDデイタイムランニングライトをはじめ、竹の繊維を使った「BAMBOX」ダッシュボード、ルーフレール、17インチ径ロードホイール、オートエアコン、ワイヤレスチャージングパッドなどを備えた「La Prima」(409万円〜)の2本立てである。
Fiat Grande Panda Hybrid La Prima
全長×全幅×全高:4010mm×1765mm×1630mm
ホイールベース:2540mm
車重:1270kg
パワートレイン:1199cc 3気筒ガソリン+マイルドハイブリッド 前輪駆動
最高出力:74kW+15kW(モーター)
最大トルク:205Nm+51Nm(モーター)
乗車定員:5名
燃費:20.8km/L(WLTCモード値)
価格:409万円〜


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