その後、複数の旅行会社の協力によって「スイーツ巡礼」が広がり、各地の寺院で、お菓子を楽しむ新しい魅力が注目されるようになりました。
やがて、女性誌でお寺のスイーツが特集されたり、人気ドラマの中に自然に登場したりするようになっていったのです。
かつては、若い世代にとって少し縁遠かったお寺のスイーツが、いつの間にか、身近な楽しみの一つになった。伝統を守るために、伝統を壊す必要はなかったのです。
日本の文化に「スクラップ&ビルド」は馴染まない
日本には、長い年月をかけて受け継がれてきた文化や技術が数多くあります。
一方、戦後の日本では、経済復興や成長を目指す中で、古いものを壊して新しいものをつくる「スクラップ&ビルド」が重視されてきました。
もちろん、古いものを捨て、新しいものをつくることが必要な場面もあります。
しかし、PRのようなコミュニケーションの世界では、必ずしもそれが最善とは限りません。人と人との間に築かれた信頼や、長年培われてきた文化は、簡単にやり直せるものではないからです。
大切なのは、積み重ねてきたものを生かしながら、時代に合わせて新しい刺激を加えること。
「なんだか新しい」
「ちょっと面白そう」
そんな気持ちを引き出すことが、伝統を未来へつなぐイノベーションになるのです。
これは、中小企業にも応用できます。
「時代の変化についていけない。新しい商品を開発しなければ!」
そう慌てる前に、今ある商品やサービスの魅力を、今の時代に合った表現で伝えられないか、考えてみてはいかがでしょうか。
たとえば、
こうした取り組みも、立派なイノベーションです。
時代が変わっても、価値を失わないために、今あるものを壊す前に、まずは伝え方を変えてみる。
それが、「知られ続ける」ための極意なのです。


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