そもそも、この自主規制は効果が疑わしかった。発表の際には、好意的に評価するオールドメディアが多かったが、業界ではそんな捉え方をする人はほぼいなかった。「自主規制をどう評価しますか?」と私は問われた際に、「自己保身の域を出ないし、千代田区の要請にはゼロ回答だ」と答えていたほどだ。
少なくとも、この自主規制を以前からやっておけば、新築竣工前から安く投げ売られることはなかった。新築の販売期間中に転売されるのは、デベロッパーとしては価格設定・販売戦略が間違っていたことを証明するような恥ずかしい事態だ。もはや自己保身もできなくなっているが、そうした買い手とわかって売ってきたのだから、自業自得と言わざるを得ない。
販売の勢いを失ったマンション市場
「転売ヤー」に資金がつかないがゆえに、今後も契約した住戸を決済できないケースが増えそうだ。たとえ、決済できたとしても1年以内に返済する短期資金の借入に頼ることになるので、返済期限までの売却を迫られることになる。
買い手の側からすれば、先ほどの新築時価格と中古の売り出し価格と成約価格を把握したうえで、絶妙な指値を入れることが成功の秘訣になってくる。その際のポイントの1つは、手付解除による損失との比較だ。
転売ヤーが契約物件を決済できず、手付解除が可能な段階にある場合には、手付金(例えば、物件価格の1割)を放棄して契約を解除する選択肢がある。このため、手付解除による損失と、転売に伴う諸費用を含む損失が同程度になる価格が、指値価格の目安になってくるだろう。「買いたたく」ためにはこうした価格情報の論理武装が少なくとも必要になるし、仲介会社も味方につけて取り組むのがいいだろう。
また、契約キャンセルされた住戸が出てくることも予想される。購入検討していた人は新築のキャンセル住戸と転売で売られる住戸の双方を比較して選ぶことになる。この際も情報武装をし、適正価格を見つけ出すしかない。
販売の勢いを失ったマンション市場で売り手の思考回路を読み切って、賢く購入することが必要な時期にあるがゆえに、丹念な情報収集が勝負のカギとなっている。


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