
なお、マイワシは完全に消えるわけではないので、多少の水揚げはあります。しかしながらその数量は漁業を持続的にするための量から程遠いのです。
脂がのった鮮度がよいマイワシは大変おいしい魚です。しかしながら、寿命が7年程度あるマイワシを0~1歳というまだ小さいうちに「成長乱獲」で大量に漁獲してきたのが我が国の実態です。なおマイワシは、漁獲以外にも、環境要因で資源量が大きく変動する魚として知られています。
それでは、資源を少しでも長く利用するためにできることは何でしょうか? その対策は「魚は減っていない」と主張することではなく、資源量が減少傾向にあるときは、漁獲量を減らす数量管理です。人類にとって海水温を1度高くしたり低くしたりすることは困難です。
しかし漁獲量を制限することで、卵を産む親の資源をある程度残して漁を続けていくことはできます。特に資源量が減ってくると「予防的アプローチ」を行って禁漁を含め、将来に資源を残すための厳しい措置を取るのが世界の常識なのですが、我が国は逆にできるだけ獲る方向に進んで資源を潰してしまいます。
こうした状況にあるにもかかわらず、日本では数量管理の必要性に逆行する言説が後を絶ちません。「マイワシは価格が下がるのでわざと獲らずにいる」「魚は減っていない」「日本の自主管理は世界の資源学者から評価されている」といった大学関係者などによる主張です。
筆者のもとには、こうした主張が誤っているとわかっていても、上司や先生には言えないという若い研究者や学生から相談が寄せられます。これでは人も育たず、日本の資源管理はどんどん世界の潮流からずれていきます。しかし、時がたってその誤りに気づいたとき、後悔するのは日本社会全体です。
減っているのに店頭にはマイワシが並ぶ理由
全体としてマイワシの漁獲量減少は鮮明になっています。しかし、なぜ店にはマイワシが並ぶのか? その大きな理由は、マイワシの資源が主に太平洋系群と対馬暖流系群(日本海・東シナ海)の2つの系群に分かれているからです。
大不漁に陥っているのは太平洋側のほうです。マイワシの資源量・漁獲量は太平洋系群が主流ですが、対馬暖流系群では日本海・東シナ海の方は、前年(2025年)より水揚げ量が増えているため供給が途切れないのです。
なお、マイワシに限らず海面温度が下がっている環境ではないですが、これらの海域で魚が獲れなくなる理由として頻繁に挙がってくる海水温上昇は、魚が獲れている時には出てこなくなります。


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