このアヒルのように旅の間、初めて会う人から贈り物をもらう場面が何度もあった。
観光客のほとんどいない町では、友人の友人たちが、ふたりと娘のためにプレゼントを用意してくれていた。ブルーノは日記に、こう書いている。
<プレゼントは、氷を溶かすための素敵な方法だ>
バネッサは、「すごかった」と目を大きくしていう。
「みんなが私たちを喜ばせようとしているのが分かりました。それが偽りではなく純粋にもてなしてくれていると感じて、本当にうれしかった」
旅の最後に連泊したホテルでも、チェックアウトの日に贈り物があった。温泉カルタや漆塗りの食器、木箱に入った箸。「来てくれてありがとう」と言われ、仰天した。
ブルーノ「見送りをしてくれる時も、さようならって手を振って、タクシーが見えなくなるまで見送ってくれました。まるで、有名人か王様にでもなったような気分でした」
「警官がいない」ことに安心した
もうひとつ、ふたりが不思議に感じたことがある。
街で、警察官の姿をほとんど見かけなかったのだ。
ブルーノ「スペインでは、警察官をそこら中で見かけます。しかも、みんなが親切ではないんです。まず『何か悪いことをしているだろう』という前提で話しかけてきたり、言いがかりをつけたりする、ガラの悪い警官が多い。だから、警官を見ると不安になってしまうんです」
バネッサ「警官が見当たらないということは、それだけ介入する必要がないということ。それが、私には安心でした」
警官の存在は、必ずしも安心材料ではないのだ。


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