改札も、見かけない警官も。改札の設計の意図が「効率」だったとしても、ふたりがそこに「信頼」を読み取ったのは、街のあちこちで同じ空気を感じたからだろう。日本社会は、まず疑うのではなく、まず信じることから始まっているのではないか。ふたりはそう考察していた。
「日本に恋をした」
旅を終えたふたりは、「日本に恋をした」という。
バネッサ「日本の首都と田舎に滞在して、みんなが本当に良くしてくれた。だから私たちも、日本のために何かいいことをして、お返ししたいという気持ちが湧いてくるんです」
親切にされると、自分も誰かに親切にしたくなる。ふたりが日本で受け取ったのは、そういう小さな循環だったのかもしれない。
15日間の旅行だけで、日本社会のすべてが分かるわけではない。ブルーノも「日本に住んだり働いたりすると、きっと違う側面が見えてくると思う」と話す。旅行者として受け取る「日本人の優しさ」と、そこで暮らす人が感じる日本社会は、同じではないだろう。それでも日本で過ごした15日間は、スペインに戻った今も、心の中を温めてくれているという。
改札も、静けさも、ちょっとしたおもてなしも。日本人が毎日何気なく通り過ぎている「普通」の中に、彼らは驚きを見つけて帰っていった。
スペインでは、ハグが温かさを伝える大切な方法だ。日本人には、馴染みがない。「冷たい」と思って訪れた国で、ふたりが出会ったのは、ハグのない温かさだった。


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