バネッサは、スペインでソーシャルワーカーとして、子どもたちの教育に携わっている。だからこそ、日本の子どもたちの姿勢には考えさせられるものがあったという。
「私自身、子どもたちの自由を大切にして、いろいろな経験をさせる教育をしています。でも、どこまで許すか、その線引きがすごく難しい。限度がないと子どもたちは度を超してしまう。そして突然、パンクしてしまうんです。日本では、親や周りの大人が何をすべきかはっきり示しているから、子どもたちもそれが分かってルールを守れるのだと感じました」
バネッサは日本人から感じたことを「調和」という一言で表現していた。ただ、この「調和」は、万人にとって心地よいものだとは言えない。
飲酒に対する意識の違い
ブルーノは、日本の旅での、思いがけない戸惑いについても教えてくれた。
暑い日が続くと、ブルーノはどうしても冷えたビールが恋しくなった。北陸でレンタカーを借りた日、お腹を空かせて海鮮丼とビールを頼んだ。運転手は、ブルーノ。一緒にいた日本人の友だちは「何してんの?飲酒運転は絶対にだめだよ」と言った。
「え、1杯だけだよ?」
「1杯でもちょっとでも、絶対にだめ!」と強く言われた。
「スペインでは、ビールを1杯くらい飲んでから運転する人は珍しくありません。だから、1杯くらいいいじゃないか、と思って……」
その日の日記にブルーノはこう書いている。
<運転するなら「飲む」ことができないため、丸々ビールを残さなければならなかった。ここでの規則は、他の多くのことと同じように、とても制限的で厳格だ>
この認識の違いについては、実際に筆者もスペインに住み始めて驚いた。お酒を飲んでから運転する姿を目にすることが多く、ときどき、仕事の合間にワインを嗜む人も見かける。
スペインで罰則の対象になるのは、呼気1リットル中のアルコール濃度が0.25mg以上の場合だ(免許取得から間もない運転者や職業運転手は0.15mg)。ビール1杯程度なら、この範囲に収まることも多いとされる。一方、日本では酒気を帯びての運転そのものが禁じられていて、0.15mgから罰則の対象になる。


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