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「AIで早く終わらせても、仕事が増えるだけ」という警戒感――AIを恐れないのに使わない日本人の職場に潜む「雇用の逆説」

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AIの利用拡大について「期待より懸念が上回る」と答えた日本人は28%で、アメリカなどと比べるとはるかに低い(写真:ちくわぶぶ/PIXTA)
  • 山口 真一 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター教授

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日本は、AIへの不安や拒否感が世界で最も小さい国の一つだ。それにもかかわらず、職場で生成AIを使う人は4人に1人にとどまる。国際比較データをもとに、このねじれを生む雇用慣行と組織文化を読み解く。山口真一氏の新刊『AI資本主義のビジネス戦略』から一部を抜粋・再編集してお届けする。

日本人は「AIに冷淡」なのではない

私の調査では、職場で生成AIを業務に使っている人は、4人に1人にとどまる。個人の生成AI利用率が諸外国に比べてかなり低いことも、『情報通信白書』など各種調査が示している。こうした数字だけを見れば、「日本人はAIという未知の技術に不安を抱き、慎重すぎるあまり導入が進まないのだ」と結論づけたくなるだろう。

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だが、現実はそう単純ではない。国際比較調査を見ると、日本人はAIに対する不安や拒否感が、世界でも際立って小さい部類に入る。

世界最大級の調査会社イプソスが2025年に行った調査では、「AIを使った製品やサービスは不安だ」と答えた日本人は29%にとどまり、調査対象30カ国のなかで最も低かった。30カ国平均は53%、アメリカは64%である。ピュー・リサーチ・センターが同年に25カ国で実施した調査でも、AIの利用拡大について「期待より懸念が上回る」と答えた日本人は28%で、25カ国の中央値34%を下回り、アメリカやイタリアの約50%と比べてはるかに低い。不安や警戒という否定的な感情に関する限り、日本は世界でも最も穏やかな国の一つなのである。

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