しかし、驚きはそれだけではない。社員数が急激に減ればサービスはすぐにでも停止してしまうだろうという世間の予想が外れたのだ。意外にもツイッターは、理想的な状態ではないにせよ従来どおりサービスを提供していた。
たぶんこのときからだったように思う。ビッグ・テックの企業と株主たちが「そうか、これだけの規模のレイオフをしても会社は回るのか」と確信を持つようになっていったのは。
新型コロナウイルスの流行によって非対面型サービスに対する需要が急激に高まり、しばらく特需の恩恵を受けていたテック企業たちは、本格的に成長の鈍化について懸念を抱き始めた。
そんなムードの中でフェイスブックを運営するメタが社員全体の13%にあたる1万1000人あまりのレイオフを実施し、スナップチャットも社員全体の20%を削減した。それに続くように、アマゾンで1万人、マイクロソフトでも1万人、HP(ヒューレット・パッカード)で7000人など、大規模な人員削減が次々と行われた。
グーグルも経営効率化の方針を発表
グーグルも22年7月に経営効率化の方針を発表した。「非効率的な組織構造を変え、重複しているプロジェクトについては一本化する」「支出についてはより精査し、特にオフラインイベントについてはその必要性を今一度確認する」「海外出張は必要不可欠な場合のみとする」などと社内向けのガイドラインが提示されたのだ。
ただ、コスト削減の施策が発表されている中でも数千人の社員が毎月新たに採用されていたので、「どういうことなんだろう?」と思っていた。話のつじつまが合わなかったから。
そういう思いを抱くのは私だけではなかったので、社内で大きなミーティングがあるたびに「成長が鈍化していて、経済の先行きについて懸念が強まっているのに、なぜこんなに大勢を採用しつづけているのか?」という趣旨の質問が殺到した。
それに対して経営陣は、「人材採用の動きの変化や結果は、すぐ目に見えはしない。今は以前に比べて人材採用のスピードを緩めているし、採用の指針を変えたとしてもインパクトは四半期以上遅れて現れる」と何事もないかのように答えたりしていた。


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