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今年6月、埼玉県川口市で訪問中のケアマネジャー(介護支援専門員)が、利用者の息子に殺害された事件が発生した時、介護の業界では「また起きた」という声があがった。その1年前にも、神奈川県横浜市鶴見区でケアマネが刺される事件が起きていたからだ。市内にある法人に勤務していたケアマネは、訪問先の利用者に襲われて負傷した。
この事件は現在まで概要しか報じられていない。被害者が所属していた法人が、さまざまな事情から対外的に情報発信することを控えていたからだ。
訪問系サービスに従事する人たちからはケアマネが刺される事件から安全対策の手がかりを得たいという声が高まっていたが、結果的に、事件の背景はほとんど明らかになってこなかった。
川口市の事件を受け、1年前に同様の経験をした法人は何を感じたのか。このたび法人の幹部が、匿名を条件に初めて取材に応じた。ルポライターで社会福祉士の資格も持つ大月えり奈氏による連載【介護崩壊前夜――相次ぐケアマネ殺傷事件が示唆するもの】の第3回は、1年間、葛藤を抱えながらさまざまな壁に直面してきた法人幹部へのインタビュー。
――昨年6月、貴法人に所属するケアマネが訪問先で刺される事件が起きました。それから1年後の今年6月、今度は埼玉県川口市でケアマネが殺害される事件が発生しました。この報に接したとき、何を感じましたか。
1年間、「このまま何も伝えずに終わってよいのだろうか」と、悶々としてきた。
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