――この絵本を読むと、子どもに向けられる、「嘘をつく・ずるい・意地悪」といった評価は、見当違いなのだとわかります。その子なりの理屈や、世界があるとわかるからです。子どもを見つめ直すきっかけになるかもしれません。
子どもは1人の世界から抜け出して、だんだんと他者との関係性を学んでいきます。親子を含めて、人間関係の距離を測ることを学んでいくわけです。私は、そのときに出てくる嘘というのは、大人が使う保身のための嘘ではなく、相手との関係をどうしていけばいいのかという迷いの中から出てくる、命と直結するような嘘だと思っています。
私はいつも、子どもがつく嘘はすごく真剣なものだと感じています。そういう時期に差しかかった子どもの話を、このシリーズでは切り取っています。子どもを責めるわけでもなく、教訓にするわけでもない。子どもってそういうものだよね、という話をしているんですね。
「いい子スイッチ」を外すきっかけになれば…
――今の絵本の「常識」から見ると、ショッキングな描写もあります。この絵本をどんなふうに読んでもらいたいですか?
先入観を持たず、ただ読んでもらいたいです。「できるだけいい子でいよう」とする子どもたちに、自由奔放なルルちゃんの姿を通して「自分の気持ちをこんなふうに表していいんだ」と伝えられたらうれしいです。「いい子スイッチ」をガチャッと外すきっかけになればいいなと思います。
親子ともに「あー、この気持ちわかる」という場面が、きっとあるはずです。でも親御さんには、お子さんが何か言うまで感想を言わないでほしいと思います。
――確かにお母さんが先に感想を言うと、子どもはそれに合わせてしまいそうですね。
そうなんです。ぜひ、お子さん自身の感想を大事にしてください。もし、お子さんが何も言わなければ、それでいいと思います。何か言うまでの楽しみと思えばいいですよね。
「いい子でいなきゃ」というプレッシャーの中で育つ今の子どもと、「いい子にさせなきゃ」というプレッシャーの中で子育てをしている親御さんに、この絵本は「そのままでいいんだよ」と語りかけています。50年前よりも今、切実に必要とされている絵本だと思います。
(構成:黒坂真由子)



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