この問題を考えるヒントは、「農家さんがどうやってお金を稼いでいるか」に隠れています。
普通、農家さんは作った作物を市場に出荷して収入を得ますよね。でも東京のブルーベリー農家さんの多くは、それとは別の方法でも稼いでいます。
それが「観光農園」です。
ブルーベリー狩り、つまり収穫体験ができる農園を開いているんです。家族連れや友人同士で訪れて、自分で摘んだブルーベリーをその場で味わえます。農園によっては、摘んだ分を食べ放題にしているところもあります。
ここで東京の強みが生きてきます。
東京は日本でいちばん人口が多い場所です。
お客さんが集まりやすいので、観光農園を開くのにとても向いているんです。
遠くの山奥に農園を作ってもなかなか人は来ませんが、電車や車ですぐ行ける場所なら、週末に気軽に遊びに行けますよね。
実際、東京都の資料によると、練馬区ではブルーベリーの摘み取り園が2007年の8園から、2025年には30園まで増えています。いまでは23区内で最大の栽培面積なのだそうです。
「近さ」がそのまま価値になる
もうひとつのポイントは、消費地が近いことです。
ブルーベリーは粒が小さく、やわらかい果物です。摘みたての新鮮なものほど価値がありますし、遠くまで運ぶのはあまり得意ではありません。そう考えると、たくさん買ってくれる人がいる場所のすぐそばで作るのは、とても合理的です。
それに東京には喫茶店やケーキ屋さんがたくさんあります。ブルーベリーを使ったケーキやタルト、ジャムなどの需要も大きいでしょう。作ったものを売る相手がすぐ近くにいるわけです。
ここで、東京という土地のことも考えてみましょう。
東京は地価が高く、広い農地をとるのは難しい場所です。だからこそ、狭い土地でも高い付加価値を生み出せる作物が選ばれるのです。
米や小麦のように広い畑で大量に作る作物は、東京ではなかなか成り立ちません。
でもブルーベリーなら、収穫体験という「体験」ごと売ることができます。土地が狭いという弱点を、人が多いという強みでカバーしているわけですね。


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