また、TBS系『林先生が驚く初耳学!』(2018年放送)では、東京大学理科Ⅲ類に合格した教え子の答案を「乱暴な字で書き殴ったような答案」として紹介したうえで、次のように話しています。
「過去の優秀な生徒を見ていると、『字がきれいで知の整理が上手』なタイプより、『字が汚くても知の整理が上手』なタイプの方が多い」
東大生の答案とノートを大量に見てきた林修先生がこう言うのだから、字が汚い東大生が多いのは、どうやら事実のようなのです。
字が崩れるのは、「速く書く」から
では、なぜこれほど字が汚い東大生が多いのか。
実はこれ、偶然でも、単なる欠点でもありません。そこには、東大生のインプットのコツがそのまま表れている、と僕は考えています。
東大生には、「軽くメモを取る」習慣があります。授業を聞いていて、本を読んでいて、人と話していて、思い付いたことは、とにかく書き留める。丁寧じゃなくていいし、きれいじゃなくてもいい。頭の中に浮かんだことを、とにかくパパッと紙に書き留めるのです。
言い方を変えれば、アウトプットのハードルが低い、ということです。
「きれいなノートを作ろう」と思うと、書く前に準備が必要になります。どこに何を書くか、どうレイアウトするか、色はどうするか。こういうことを考えている間に、頭は「書くこと」に使われてしまい、肝心の「考えること」が止まってしまう。
一方、書き留めることが目的なら、準備は一切いりません。思い付いた瞬間に、紙に向かって、とにかく書く。大きな紙に、大きく書く。書くスピードはどんどん速くなり、手が思考に追いつこうと必死になるぶん、字が崩れる。
ちなみに、この「書き留める」の受け皿には、紙が向いています。パソコンやスマホは、起動して、アプリを開いて、という手間があるうえ、つい入力の形式を気にしてしまう。紙なら、開いた瞬間から書けます。文字を書いても、矢印を入れても、図を描いても、誰も文句を言いません。インプットの受け皿として、紙ほどアウトプットのハードルの低い道具はありません。
字が汚いのは、「考えるスピードで書いている」証拠だ、と言ってもいいかもしれません。
実際、僕の周りにも、頭の中に浮かんだことを書き殴るようにメモを取る東大生はたくさんいます。書いたものを見返して、そこからさらに考えを深めていく。思考を一度紙の上に置いて、それを転がしていく。この「とにかく一度書く」習慣が、入ってきた情報を頭の中だけで抱え込まずに、すぐ外に出して処理することにつながり、インプットの量と質を底上げしているのだと思います。


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