実際、近年の研究では、腸内に悪玉菌が消え去ってゼロになってしまうと、次第に善玉菌の活動が鈍ってくることが分かっています。これは、分かりやすく言えば、悪玉菌がいなくなると勢力争いの緊張感がなくなって、善玉菌が日々の仕事をサボり出すような状況です。
政治の世界で言えば、野党がいないと与党がだらけてダメになってくるようなものでしょう。逆に、野党が見張り役や批判役としてしっかり役目を果たしていれば、与党もピシッとまつりごとをするようになるもの。
つまり、善玉菌(与党)と悪玉菌(野党)は「持ちつ持たれつ」の関係性にあり、悪玉菌勢力は腸の世界の政治バランスを正しく動かしていくうえで欠かせない役割を果たしているのです。悪玉菌の腸内における存在感は「必要悪」というよりも、「数は少ないけれど、とても優秀な対抗勢力」といったところなのかもしれません。
ただ、だからといって、もし悪玉菌が増えすぎて腸内の主導権を握ってしまうと、腸内はいろいろと困った事態に陥ることになります。さまざまな機能がストップして、たくさんの仕事が滞り、腸内環境は悪化の一途をたどることになるのではないでしょうか。
ですから、あくまで主導権は悪玉菌に渡さないようにして、腸内では常に善玉菌のほうが優勢な状態をキープしていかなくてはなりません。腸内環境の平和と安定を保っていくには、善玉菌も悪玉菌も元気で、善玉菌のほうがちょっと優勢なくらいがもっとも都合のいいバランスなのです。
「腸内政治」のバランスは取り戻せる
そして、ここで大事なのは、もしバランスが乱れてしまっても、腸内環境は努力次第で改善できるということです。
たとえ、悪玉菌勢力が実権を握って腸内が荒れ果ててしまったとしても、食事や生活リズムを見直して環境改善の努力をしていけば、着実に善玉菌勢力がもりかえしてくることになります。そうすれば、再び腸内の勢力バランスを安定させて、平穏で暮らしやすい、すこやかな腸内フローラを取り戻していくことができるでしょう。
政治もあきらめずに何とか改善させようとしていればマシにはなってくるもの。それと同じように、腸内環境もあきらめることなく改善努力を続けていけば、腸内細菌たちがやがてちょうどいい勢力バランスを取り戻して、日々活気づいて働くようになっていくものなのです。


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