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パナソニック コネクト新CEOが成長の起点に据える「現場の機器」、AI活用を阻むバラバラなデータ基盤

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メディア向けの合同取材
9月17日の合同取材。中央がパナソニック コネクトグループCEOのケン・セイン氏(写真:筆者撮影)
  • 石井 徹 モバイル・ITライター
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顧客の現場で稼働する機器(MIF)を起点にサービスへ広げる方針を示したスライド(写真:筆者撮影)

すでに動いている例もある。現場ソリューションカンパニー社長の奥村康彦氏によると、国内ではタブレットやレッツノート、決済端末を、ネットワーク経由で管理する端末として納めるケースが増えている。企業ではセキュリティ対策やアップデートといった端末管理の負荷が大きく、その管理業務ごとサービスとして引き受ける形だ。東急電鉄とは、駅ホームの監視カメラ映像をAIで解析し、ワンマン運転の運転士がドアを閉める判断を支援するシステムを9月17日から東横線20駅に導入すると、合同取材の前日に発表している。

売上高に占めるソリューションの比率は25年度で65%に達したという。製品を売り切る事業から、サービスやエンジニアリングを通じて継続的に収益を得る事業へ転換を進めていると述べた。ただし、足元の数字を押し上げているのは転換の先にあるサービスではない。西川氏は直近で強い需要が見込める分野として、データセンター向けを含む半導体関連の実装機、回復が進む航空、サプライチェーンのソフトウェアを挙げた。パナソニックホールディングス(HD)の決算資料でも、コネクトの26年度第1四半期の売上高は前年同期比16%増の3523億円で、AIサーバー関連の実装機需要が牽引している。この増収はセイン氏が広げようとするサービスではなく、機器の販売によるものだ。

売上高とEBITDAの推移。2025年度の売上高は1兆3803億円(写真:筆者撮影)

事業部ごとに異なる強み、まずは社内でつなぐ

セイン氏は就任からの半年で各事業部に深く関わり、それぞれに他の事業部と共有できる強みがあるとわかったと語った。アビオニクスにはハード・ソフト・サービスを統合する力があり、Blue Yonderには機敏なソフトウェア開発とAIを組み込む力がある。現場ソリューションカンパニーには顧客の現場プロセスに関する深いノウハウがあり、モバイルソリューションズ事業部には大規模な製造能力があると挙げた。

事業部ごとの強みを他の事業部に広げるとしたスライド(写真:筆者撮影)

当面の目標は、こうしたベストプラクティスをグループ全体に展開することだという。なぜCEOに選ばれたと思うかと問われた際にも、「今日も2時間ほど、組織全体のベストプラクティスについて話し合ってきた。これを毎週欠かさずやっている」と明かした。パナソニック エレクトリックワークスなど、パナソニックグループ内の他の事業会社との協業について問われると、やり取りは始まっているとしつつ、まず焦点を当てるのはコネクト社内だと答えた。社内の事業部同士をつないで力を引き出すことを先にやり、他の事業会社との協業は長期的な目標だとした。

質問に答えるセイン氏(写真:筆者撮影)

データ基盤は「バラバラ」、統合はこれから

「最新のAIモデルは買ってこられるが、それは我々の持ち物ではなく、強みにもならない」。榊原氏はこう述べ、強みになるのは自社で集めたデータで学習させた自前のAIだと説明した。稼働中の機器からデータを集められる企業は、そのデータで学習させたAIを自社の組織として提供できる。榊原氏はこれが、データを取得できる企業にとって最大の差別化要因になると述べ、共通のプラットフォームでデータを集めて学習させ、AIで新しいサービスを提供し、そこからまたデータを集める循環を描いた。セイン氏がBlue Yonderの強みに挙げたAIを組み込む力は、この循環の中で使うものだ。

CTOの榊原彰氏(左)と現場ソリューションカンパニー社長の奥村康彦氏(写真:筆者撮影)

ただし、その共通プラットフォームはまだない。PCから溶接ロボット、実装機、機内エンターテインメントまで事業が異なる中で、データを吸い上げる基盤は共通化されているのかと問われた榊原氏は「正直に申しますと、今は共通化されていなくて、各事業部バラバラになっております」と認めた。学習用のデータ基盤をフェデレーション(連携)させて活用できるプラットフォームにするため、設計を進めている段階だという。セイン氏が成長の起点に置いた現場データは、集める基盤のほうがまだない。

基盤づくりはコネクト1社の課題にとどまらない。パナソニックHDは4月1日付で、グループ横断でソリューション事業の収益構造を変えるSRO(ソリューション・レベニュー・オフィサー)と、AIの実装を進めるグループCAIO(最高AI責任者)を新設した。CAIOには榊原氏がコネクトのCTOと兼務で就き、HDはAI基盤の開発を担ってきたPanasonic Well本部を3月31日で解散して、開発リソースをグループ内に集約した。榊原氏はデータ基盤の構想を、コネクトだけでなくパナソニックグループ全体に広げたいと述べた。

基盤が整った先の使い道として、榊原氏は工場のロボットを例に挙げた。ロボットを動かすには座標を指定して動作を教えるティーチングが必要で、生産ラインを制御するPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラー)にはラダー言語でプログラムを書く。ラインを少し変えるたびに書き直してきたこの作業を、自然言語からコードを生成するエージェントに任せれば、改善に占める人の作業を大きく減らせるという。

セイン氏は説明の最後に、パナソニック コネクトには強い事業と人材、顧客との深い関係があり、次の成長はそれらを効果的につなぐことから生まれると述べた。戦略は方向をつくり、結果は現場の実行がつくるという本人の言葉に照らせば、この日示されたのは方向で、実行を支えるデータ基盤は設計の途中にある。経営戦略の詳細は、12月に開くIR Dayで改めて説明するという。

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