「戦略は方向をつくるが、結果をつくるのは現場の実行だ」。パナソニック コネクトグループCEOのケン・セイン氏は、9月17日に東京都内で開いたメディア向けの合同取材で、自身の経営観をこう説明した。4月1日の就任から半年、パナソニック コネクトにとって初めての外国籍トップが成長の起点に置くのは、顧客の現場ですでに動いている機器だ。
合同取材はセイン氏の経営観と事業運営の基本的な考え方を説明する場で、CTO(最高技術責任者)の榊原彰氏やCFO(最高財務責任者)の西川岳志氏らが陪席した。セイン氏が語った成長の筋道と、陪席した2人が語った足元の数字と現状を並べると、構想と土台の間にある距離が見えてくる。
稼働中の機器からサービスへ広げる
冒頭の言葉は、セイン氏が戦略コンサルティングのA.T.カーニーからボーイングに移り、戦略や業務改善の仕事からソフトウェアの仕事に移る中で学んだ教訓だという。ボーイングでは航空チャートやソフトウェアを手がけるジェプセンのCEOを務め、2019年にコネクト傘下で航空機の機内エンターテインメントシステムや機内通信サービスを手がける米パナソニック アビオニクスのCEOに就いた。現在も兼務している。
パナソニック コネクトグループは従業員約2万9100人、25年度の売上高は1兆3803億円で、主要事業は7つある。半導体製造向けの実装機、サプライチェーン管理ソフトのBlue Yonder、機内エンターテインメント、ノートPCのレッツノートや決済端末、溶接機、業務用プロジェクターなどで、セイン氏はいずれも基幹業務の現場に関わっている点が共通すると説明した。
成長の起点として繰り返し挙げたのが「MIF(Machines In the Field)」だった。顧客の現場ですでに稼働している機器を指す。パナソニック コネクトの場合は、工場に納めた実装機や溶接ロボット、航空機に載せた機内エンターテインメントシステム、店舗の決済端末などが当たる。こうした機器は世界中の顧客の現場で、すでに膨大な数が動いている。セイン氏は、その蓄積は設置済みの機材というだけでなく、機器から取れる現場のデータ、運用して得た知見、顧客からの信頼、次のサービスを売る機会を意味すると説明した。納めた機器の保守から始めて、その機器を使う業務の運用、業務そのものの請け負い、顧客向けのソフトウェア開発へと、段階を追って事業を広げる考えを示した。


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