「政権与党の議席でなくなった地域、その地域の予算はごっそり削られますよ」
赤いウインドブレーカーを着て自分の名前が入ったたすきをかけ、「必勝」の鉢巻きをしめた簗氏が、駐車場で選挙演説している動画が残っている。
しかし、簗氏が栃木3区で渡辺氏に敗退した後の同選挙区内での道路予算は、簗氏を応援した那須町で34%、那須塩原市で11%増額された。選挙での勝敗ではなく、「簗氏を支持したかどうか」で配分が決まったと見るほうが適切だ。
だが、これも「虎の威を借る狐」にすぎないのではないか。
「仲間を守る」高市首相の信条
衆院選で簗氏が最大限にアピールしたのは、高い支持率を誇る高市首相との関係だった。高市首相は投票日の2日前に那須塩原市に入って簗氏を応援したが、その日程はわずか2日前に決まった。簗氏側から猛烈な選挙要請があったためだった。
「とにかく私の大事なヤナちゃん、私の知恵袋のヤナちゃん、いなかったら大変です!」
会場になったJAなすの本店前で、紺色のダウンジャケットを羽織った高市首相は声を張り上げた。
そして高市首相は9月17日、内閣改造で簗氏を農水相に任命した。農水省出身の鈴木憲和前農水相は生産者重視の考えで、米価が高騰した昨年放出した備蓄米の買い戻しに積極的だった。物価上昇を抑えるために、買い戻しに消極的な高市首相とは、今年夏ごろから隙間風が吹いていた。


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