脳梗塞の初期症状は「顔」「手足」「言葉」に出るといわれます。みたのは初めてでしたが、私はすぐに脳梗塞を疑いました。
同僚と協力して大急ぎで隣接する附属病院にストレッチャーで教授を搬送。迅速な治療が幸いして、後遺症もなく退院することができたのです。
このように脳梗塞では初期症状が「顔」「手足」「言葉」の異変となって表れます。
顔の片側が下がっているのは典型的な初期症状です。教授が「目が見えない」と訴えたのは、顔の筋肉が下がって目をふさいでいたからでしょう。
普段と違う足音は、足に麻痺が出ていたためと考えられます。
また、サンド伊達さんのようにしゃべりに違和感があるときも脳梗塞を疑うべきです。
脳梗塞は治療の種類によって発症後4.5〜6時間以内に治療を開始すると後遺症が残りにくくなるとされており、この時間は「ゴールデンタイム」と呼ばれています。脳梗塞ではゴールデンタイムを逃さず治療を開始することが何より大事なのです。
脳梗塞はどのようにして起こるのか
では、脳梗塞はどのようにして起こるのでしょうか。
脳梗塞は脳の血管が詰まることで脳細胞が壊死する病気で、詰まり方によって次の3つに分類されます。

多くの人は初期症状が出た時点で病院にかかるため、脳梗塞で突然死して解剖になる人はごく少数です。
その多くは症状に気づかなかった高齢者や単身者が大半を占めますが、脳梗塞が原因で運転不能となり、交通事故を起こして亡くなった人が運ばれてくることもあります。
私が解剖を担当した会社員の渡辺真一さん(50歳男性・仮名)はまさに後者のケースでした。通勤途中にクルマで対向車線にはみ出し、ガードレールに衝突して亡くなったのです。
傷害保険に加入していた場合、亡くなった原因が交通事故か、病気かで保険金が支払われるか否かが変わります。
渡辺さんは傷害保険に加入していたため、死因を明らかにしなければなりません。私はご遺体に一礼して検案(外表検査)に取りかかりました。


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