幸福研究が幕を開けたきっかけは、アメリカの心理学者エド・ディーナーによる1984年の論文だったという。そしてそののち、徐々に幸せについての研究が学会の注目を浴びるようになったのだそうだ。
「幸福100パーセント」とかいう謎ワード
著者はディーナー教授の研究室に留学した経験を持つが、当時も幸福を研究するということ自体がなんなのか、(友人たちも含めて)理解できなかったと振り返っている。
だが、状況は変化した。
たしかに「幸福100パーセント」は謎ワードだが、言い換えればそれだけ幸せについての関心順位が(よい方向へと)変わったということなのかもしれない。そして今後も、日常的な暮らしと結びついたかたちで変化していくに違いない。
著者のいうように、少し前まで人類は、空腹や寒さ、病気といった苦しみに悩まされながら生きてきた。それらのマイナス要因を「欠乏」と呼ぶのなら、“欠乏の時代”を生きる人の人生の目標が、幸せという基本的な欲求を満たすことになったとしても不思議ではない。
おなかいっぱい食べて、眠ること――。
そんなときに味わう代表的な経験が快感であり、おそらく以前は、その理想的なあり方が幸せだったのだろう。
だとすれば、食べ物、病気、けがなどに関する心配や問題のない暮らしは、私たちに永遠の幸せをもたらしてくれるのだろうか?


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