6月に手術を受けた股関節の痛みを「忘れてしまうほど痛い」という状態でありながら、タキシードを纏った式典では周囲にまったく怪我を悟らせずに登壇した。
マスタードライバーとしての実践そのものが授賞理由でありながら、晴れ舞台の直前までクルマと向き合い、泥だらけになって格闘し、手傷を負って式典に現れる。これほどまでに「モリゾウ」らしく、理屈ではなくクルマ屋としてのハートを体現したエピソードもないだろう。
式典では、全米最大のトヨタディーラー「ロンゴ・トヨタ」を率い、40年以上にわたりトヨタと深い信頼関係を築いてきたペンスキー・オートモーティブ・グループ副会長のグレッグ・ペンスキー氏が祝辞に登壇。
就任直後の苦難を乗り越えたリーダーシップや構造改革、そして「二度と退屈なクルマはつくらない」と宣言してレクサス「LFA」「LC」、「GR86」「GRスープラ」、さらにはRAV4や新型プリウスに至るまで情熱を注ぎ込んできた歩みを絶賛し、「アキオは自動車業界のスーパースターであり、まさにユニコーンのような稀有なリーダーだ」と惜しみない賛辞を送った。
ウィットに富んた熱いスピーチ
盛大な拍手の中で登壇した章男氏のスピーチは、会場の心を瞬時につかむウィットとクルマ屋としての熱い信念に満ちあふれていた。
「始める前に、皆さんにひとつ秘密を打ち明けさせてほしい。実は2日前、オフロード車のテストドライブ中に横転事故を起こしてしまった。もし私が少しボロボロに見えるとしたら、そのせいだ。でもご安心を。クルマは無事だったから!」
冒頭のこの一言で会場は大爆笑に包まれた。続けて、世界中の販売店や従業員、サプライヤーへの深い敬意を示し、「今夜私がここに立っていられるのは、彼らの肩の上に乗せてもらっているからだ。この栄誉は、世界にいる約40万人すべてのトヨタ従業員のものであり、彼ら全員に属するものだ。もちろん、私が喜んで受け取るけれど」と語り、再び会場を沸かせた。
さらに、自動車の都デトロイトと豊田家の歴史的な絆に触れた。


※ログイン後、コメント入力が可能です。