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ビジネス #自動車最前線

豊田章男、米国自動車殿堂へ——「結果で見せろ」と嘲笑された孤独な男が信念(オピニオン)で世界を動かすまで

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デトロイトで米国自動車殿堂入り式典が行われ、豊田章男氏を含む4組が授賞した(写真:三橋 仁明/N-RAK PHOTO AGENCY)
デトロイトで米国自動車殿堂入り式典が行われ、豊田章男氏を含む4組が授賞した(写真:三橋 仁明/N-RAK PHOTO AGENCY)
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授賞の背景として、販売台数世界一への返り咲きやリコール危機への対応、マルチパスウェイ戦略といった数々の「ファクト(実績・数字)」が語られることは多い。

しかし、筆者はその順序は逆だと考える。ファクトがあったから認められたのではない。オピニオンを貫いた先に、それを証明するファクトが生まれたのだと。

式典会場の外に展示されたセンチュリー(写真:三橋 仁明/N-RAK PHOTO AGENCY)

以前、章男氏と初めてマンツーマンで話をし、「メディアの偏向報道に怒る気持ちもわかるが、それを変えようとしているメディアもいることを理解してほしい」と伝えた時、彼がふと漏らした言葉が今も鮮明に耳に残っている。

「気持ちはわかったが、結果で見せてもらわないとね。私もずっとそう言われてきたんだから」

社長に就任して以来、数字合わせや短期的な収益ばかりに囚われていた世間や業界から、「きれいごとではなく結果で見せろ」とどれほど懐疑の目を向けられ続けてきたか。その重圧と孤独を骨の髄まで味わってきた男だからこその、偽らざる実感だった。

オピニオンが動かした揺るぎないファクト

章男氏が戦ってきた相手は、肥大化しすぎて情熱を失いかけていた社内の硬直したマインドそのものだった。だからこそ、経営計画の数値目標を掲げるのではなく、「もっといいクルマをつくろう」「幸せを量産しよう」という平易で本質的なオピニオン(信念)を投げかけ続けた。

そして、その言葉を証明するために、自らステアリングを握り、現場の開発陣やテストドライバー、工場で汗を流す作業者、ピットで格闘するメカニック、世界中の販売店スタッフと同じ目線で汗をかいてきた。

言葉だけでなく行動を起こしたことで、商品が変わり、企業風土が変わり、結果として世界一という数字や今回の殿堂入りという揺るぎないファクトが後からついてきたのだ。まさに「ハードよりハート」が世界を動かした瞬間だった。

その現場起点を物語る痛快な出来事が、授賞式直前にも起きていた。なんと、北米での車両テスト中、マスタードライバーとして極限領域を攻めていた章男氏のオフロードカーがトラブルで横転、腕を負傷したという。

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