客観的に見てもむちゃな要求をしてくる人も少なくないという。
「工事現場で車の出入り口の誘導をしていた同僚の警備員が、コートを手にやって来た男から『お宅の車のせいでコートに傷がついた』と、弁償代を請求されたのを見たことがある」と話すのは、交通誘導警備員歴5年のBさん(30代)だ。
「その同僚にとってはまったくの言いがかりだったんですが、工事会社の監督がお金を払ってしまい、結局、その警備員が責任を取らされて現場を外された。工事会社の対応にも理不尽さを感じましたね」
こう話すBさん自身もカスハラに遭ったことがある。水道工事現場で深夜に交通誘導をしていたときのことだ。近くに住む高齢女性から「このところの工事の騒音のせいで、ネコがご飯を食べなくなった。どうしてくれるのか」と苦情を受けたのだ。
Bさんは現場監督と一緒に女性の自宅に行き、騒音で迷惑をかけていることの謝罪と水道工事の必要性の説明をした。しかし、なかなか納得してもらえなかったという。
「しまいに女性が『この余ったエサをどうしてくれるんだ。あなたが食べてくれるのか』と言い出したので、僕は追いつめられたのと早くその場から解放されたかったのとで、そのエサを食べてしまいました。後から考えれば食べる必要はなかったんですけど、早く終わりにしたいと思ってしまったんです」
それを見た女性は「もう今日はいいわ」と言い、話を終わらせたそうだ。
警備会社の4社に1社が被害
関東の警備会社で営業所所長を務めるCさん(30代)は「クレームや苦情がいちばん多いのは、工事現場の騒音」と打ち明ける。
「眠れないので工事を止めろと言われ、実際に止まったり、その場所が後回しになってしまったりすることも、月に1件ぐらいはあります。そう言われても、警備員は工事会社の監督を呼びに行くことしかできないのですが、外に出てきた人から最初に『うるせー!』と怒られるのは、やはり警備員になりますからね。大声で怒鳴られるので、怖い思いをする人は多いです」


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