「今は公設民営の保育園も増えていますが、わたしたちは民設民営なのです。
全部自分たちの力で、手作りでやってきたのが、誇りといえば、誇りですね」
無認可の時代が15年。2004年に認可を取得してから今年で22年目。合わせて37年になる。子どもの数も60人、80人と増え、現在は子ども100人、職員40人の大所帯になった。
ちなみに松尾さんは、すぐに園長に就任したわけではない。保育園の認可取得に向けて奮闘した後は、事務長として入り、その後、副園長に。保育士の資格を取り、園長になったのは認可の6年後、2010年のことだ。
「50代の頃に、そんな修業時代もありました」と、懐かしそうに目を細めた。
入れない家庭にも…300円で使える親子の居場所
しかし、松尾さんのパッションはそれだけでは収まらなかった。
卒園後に子どもたちの行き場がなくなっては困るだろうと、次に学童をつくり、児童の数が増えるとふたつに増やした。次に目を向けたのが、保育園や幼稚園に入っていない家庭だ。
市役所で福祉職をしていた頃、児童虐待の話も直接耳にしていた。枠からこぼれおちてしまう人たちに対しても、何かできることがないかと考え続けていた。
「赤ちゃんと一緒に行ける場所がない」「どうやって子どもと遊んだらいいかわからない」
そんな地域の声に寄り添いたいと、2024年に未就学児の親子向けの子育て広場「ハグもぐ」をひらいた。
保育園の敷地に隣接する、2階建ての一軒家を使い、木製の知育おもちゃをずらりと並べた。予約制で、子どもを遊ばせながら、大人も周りを気にせず落ち着いて過ごせる空間になっている。
スタッフに子育ての悩みを話したり、保育園と同じオーガニックの給食を食べられることを楽しみにしている利用者も多い。リピート率が高く、年間で70回ほど利用する親子もいた。
1回の利用料は1家族300円、ランチも1食300円と、とても良心的なうえ、必要に応じて、発達の専門家による相談や、小児科医による発育相談などもできる。民営でありながら、地域のサロンのように間口を広くつくることで、一人でも多くの親子を支えたいと願っている。


※ログイン後、コメント入力が可能です。