「子育ても家事もワンオペせず、みんなでシェアする世の中がくるように、地域で支えていけたらなと思っています」
松尾さんの情熱に心を動かされて、「ハグもぐ」の運営をオープン時から任されているのが主任スタッフの菊地佳子さん。以前は、葉山にこにこ保育園で保育士として働いた時期もあり、長女も学童に通わせるなど、松尾さんとの付き合いも長い人だ。子育て広場の構想段階で、松尾さんが真っ先に声をかけたのが菊地さんだった。
時には「助けて」と言える場所
「ハグもぐは、基本的には親子が楽しく遊べる広場ですが、保護者の方に話を伺っているなかで、『閉塞的な育児環境に息詰まっていた』とか、『誰かと話したかった』といった、普段はなかなか口にできない心の内を話してくださることがあります。
保護者の方にとっても、息抜きができたり、誰かとつながれたり、時には『助けて』と言える場所なのだと感じています」と、菊地さんは話す。
今年で3年目となる「ハグもぐ」。葉山町の子育て施設として認可取得を目指して、松尾さんの奮闘は続いている。
職員としても、保護者としても、松尾さんをよく知る菊地さんに、その人柄について聞いてみると、こんな言葉が返ってきた。
「園長は、とても情熱があり、心の温かい方。『子どもたちを守りたい』という思いを原点に、子育て中の親御さん、そして働く職員一人ひとりのことを大切に考えています。時には身を削りながらも、覚悟を持って職員と正面から向き合う姿勢には、強い責任感と愛情を感じます」
公務員時代も、保育園業に専念してからも、目の前で困っている人たちのために奔走してきた松尾さん。
そんな彼女が誰かのためではなく自分のために、陸上をふたたび始めたのは60代を過ぎてからだった。
(後編へ続く)


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