娘が中学1年生の秋に起立性調節障害と診断された保護者(40代)も、当初はどう接したらいいのか、困ったという。
「1日12時間から15時間も寝ているので、朝になったら起こしていいのか、眠いなら寝かしておいたほうがいいのか、迷いました。そんな状態なので、学校も行けていません」
周りの目を気にせずに
病院で診察を受けたのは、原因がわかれば娘も保護者としても安心できるかもしれないと考えたからだった。
「『障害』だと診断されて、ショックより、無理に起こさなくていいと医者に言われたことで、どちらかといえばホッとしました」
状況が変わったのは、起立性調節障害と診断された年の暮れに、親子でアメリカに旅行したことだったという。知り合いのアメリカ人家庭に泊めてもらったのだが、女ばかりの姉妹のいる家族だった。
「学校に行っていないこともあってか、私は気づいていませんでしたが、日本で娘は周りの目を気にしていたようです。
しかしアメリカ人家庭の姉妹は、娘が不登校だというのも知らないので、まったく気にせず接してくれました。娘も気をつかう必要がなかったのか、英語もわからないはずなのに初日からゲームで盛り上がっていました」
数日後に、いっしょに動物園に行ったときのこと、向こうの家族に「とてもいい笑顔だね」と言われた。
「娘は『楽しい』と言っていましたが、表情まで変わってきたことには気づいていなかったようで、それを伝えたら驚いていました」
帰国後、娘は眠る時間は少しだけ短くなったが不登校は続いた。ただし、高校受験を目指して積極的に学習塾に通うようになっている。
「起立性調節障害は“障害”でも“病気”でもありません」
と、小児科医で文教大学教育学部特別支援教育専修の成田奈緒子教授は言う。「障害」とつくと、治らないイメージを、とくに保護者は持ってしまいがちだが、起立性調節障害は改善するものだからだ。
「私自身が、バリバリの起立性調節障害でした」
とも、成田教授は言った。小学生くらいから車酔いしやすい体質で、電車通学していた中学生のころは立ちくらみがしたり気持ち悪くなったりを繰り返す毎日で、「悲惨な中学時代」(本人)だったそうだ。そうしたことも、起立性調節障害の症状だという。

