日清食品が1968年に日本で発売した出前一丁は、ほぼ同時期に、香港への輸出がスタートした。他社のお湯をかける麺に対し、鍋で煮ることで生まれるもちもちとした食感が支持され人気となる。
84年には香港法人を設立し、翌年から現地生産・販売をスタート。ここから、出前一丁は香港の即席麺市場でトップシェアを半世紀以上にわたって維持し続けてきた。
共働き世帯が多く、かつ住スペースが限られている香港では、スピード感を重視するライフスタイルから外食や手軽な食事が生活の中心だ。時間をかけずに調理できる即席麺が、多忙な香港人のニーズをがっちりつかんだことは驚きではない。
追加料金を払って出前一丁にグレードアップする「転丁」も
だが、出前一丁のスゴイところは、「手軽な家ごはん」にとどまらなかったところだ。日本の高い製造技術で作られた出前一丁は、香港に上陸するとすぐに、現地の飲食店でメニューに取り入れられ、「外食の定番」へとポジションを広げた。
さらに、麺類を注文する際にわざわざ追加料金(3~5香港ドル、日本円で約60~100円)を払い、標準の即席麺から出前一丁へ変更する独自の文化が存在する。
現地ではこれを広東語で「転丁(出前一丁へ変更)」と呼び、「せっかくなら良いものを」というちょっとしたぜいたくとなっている。追加料金を払ってでも選ばれる存在として、出前一丁は国民食の地位を確立した。
この確固たるポジションを支えているのが、現地人の嗜好に徹底的に合わせた商品開発だ。


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