1on1の面談の場。上司が、次の業務について説明しようとしたとき。
「これ、自分がやる意味ありますか?」。若手社員が、さらりと言い放つ。
「え?」。上司の手が止まる。「いや、もちろん意味はあるんだけど……」。そう答えながら、頭の中で必死に言葉を探していると、若手がさらに続ける。「タイパ悪いですよね。もっと成長につながる仕事を優先したいです」。
一瞬、沈黙。上司の頭の中では、「いや、仕事って全部が成長に直結するわけじゃないんだけど」「そもそも誰かがやらないと仕事が回らないんだけど」「というか、仕事ってそういうものじゃ……」と、いくつもの言葉が飛び交う。喉元まで出かかった、「やる気あるの?」というひと言を、なんとか飲み込み、口から出たのは、「……まあ、そうだね。ちょっと考えてみようか」という、なんとも歯切れの悪い言葉とひきつった笑顔。
最近、職場ではこうした「若手の正論に、上司が一瞬固まる」という場面を耳にすることが増えました。若手、とりわけZ世代と呼ばれる層には、時間を有効に使いたい、効率よく成長したいという意識を持つ人が少なくありません。
一方の上司は、「仕事には一見無駄に見えることもある」と思いながらも、強く言えば価値観の押しつけになるのではないか、ハラスメントと受け取られないかと慎重になり、言葉を飲み込みます。
これは単なる「最近の若者は」という世代間ギャップの話ではありません。働くことに対する価値観そのものが、大きく変わってきているのです。
「成長しない仕事をするのはタイパが悪い」
若手社員と話していると、こんな言葉を聞くことがあります。
「限られた時間を有効に使いたい」「どうせやるなら成長につながる仕事がしたい」「AIやツールでできることを、人がやり続ける必要がありますか?」
これを「楽をしたいだけ」と片づけるのは早計です。そこには、彼らなりの合理性があります。たとえば、資料の体裁を整える、会議室を予約する、決まった内容を別のシステムに転記する、議事録をまとめる。これまで当たり前に人がやってきた仕事でも、「それは本当に人がやる必要があるのか」という視点で見れば、確かに見直せるものはあります。


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