実際、若手から「この作業は何のためにやっているんですか?」と聞かれ、改めて確認してみたら、「昔からやっているから」という以外に明確な理由がなかった、ということもあります。長年続いていたExcelへの転記作業を見直したところ、自動化できるとわかり、業務そのものがなくなったというケースもあります。
つまり彼らの「やりたくない」は、必ずしも怠慢とは限りません。「意味がないのであれば、やらないほうが会社にとってもいいのではないか」という発想である場合もあります。そして、この「正論の切れ味」が、上司には時としてかなり刺さるのです。
上司の本音「意味が見えにくい仕事も、誰かがやっている」
しかし、上司側にも言い分があります。仕事は「自分の成長につながるもの」だけでは成り立ちません。会議室の予約も、資料の確認も、共有フォルダの整理も、それ自体が華々しい成果になるわけではありません。それでも、誰かがやらなければ仕事は回りません。
「雑務に見える仕事も含めて組織は動いている」「誰かが引き受けなければ、結局ほかの誰かにしわ寄せがいく」「直接的な成長には見えなくても、経験して初めてわかることもある」
そう感じている上司は多いでしょう。ところが、今の上司にはもうひとつ悩みがあります。「どう伝えればいいのか」です。
「これ、お願いできる?」と頼めば、「なぜ自分なんですか?」と返ってくるかもしれない。「若いうちに経験しておいたほうがいいよ」と言えば、「それって何のためですか?」と聞かれるかもしれない。
そこで上司は考えます。
「『昔はみんなやった』は、言わないほうがいいよな」「『いいからやって』もまずい」「『仕事なんだから』も圧に感じるかな」
考えすぎて、だんだん何も言えなくなります。若手を尊重しようとするあまり、必要なことまで伝えられなくなる。これも、今の職場で起きているひとつのすれ違いです。
では、なぜこれほど噛み合わないのでしょうか。
ひとつには、仕事の「意味」を知るタイミングが違うことがあります。若手は、「なぜ、この仕事をするのか」を先に知りたい。一方で上司世代には、「やってみて初めてわかることもある」という感覚があります。双方とも、それぞれの立場の理由があり、見事なほど噛み合わないのです。


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