ジャックさんは、「おいおい、おれの女房だぞ」とすぐに間に入るそうだ。そんなとき、富士子さんは「大事にされているんだなと、うれしくなる」と、少し涙ぐみながら話した。
反抗期を経て、大人になった息子たちはもう離れて暮らしているが、富士子さんとはまめに連絡を取っている。長男と次男は結婚していて、ジャックさんが富士子さんを大事にしてきたように、愛妻家なのだそうだ。
先日は、富士子さんの還暦を息子3人が祝ってくれた。
ジャックさんが退社した後、富士子さんは登録販売者の資格を取得し、社長に就任した。しかし、仕事で精神的に追い詰められ 、チックの症状が出たこともあった。ある日、ジャックさんに思いの丈を話していると、ジャックさんはこう言った。
「自分の好きなようにしてみればいいんじゃない」
シンプルな言葉だったが、富士子さんは肩の荷が下りた気がした。翌朝、洗濯物を干しながら窓の外を見ると、きれいに富士山が見えた。
「私の名前は富士子だし、富士山みたいにどっしり構えればいいのか」と吹っ切れたそうだ。
タイで見た「女性が引っ張る」形が、思いがけず、自分の会社で実現していた。
喧嘩の翌朝も「いってきまーす!」
穏やかな雰囲気の富士子さんだが、「怒らせたらやばい人だ」とジャックさんは話す。ジャックさんの兄の妻が失礼な言動をしたとき、富士子さんが、ジャックさんの実家の家族全員を集めてミーティングを開いて、問題提起したこともある。
夫婦で喧嘩になったときには、富士子さんは、言いたいことを全部ジャックさんにぶつける。ジャックさんにはそのときの対処法があるという。
「相手が言いたいことが溜まっているときは、黙って聞く。言い返したらもめてしまうので、引くようにしている。話したら気が済むこともあるし、あとは時間が解決してくれる。僕は我慢強いほうだから(笑)」


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