欲望や乱暴な言葉の応酬と人間の心の奥に光る小さな宝石のような要素が絡み合い拮抗し合いながら、物語の後半戦は一気にヒューマンパートの分量が増えていく。
当初は「自然の顔や寿命に抗う神への冒涜」への問いのようだったストーリーは、次第に「血縁という、神から与えられた断ち切れない運命」を巡る葛藤へと移行していく。
文の実家では、母親(永作博美)と、文とは血のつながらない義父がスナックを経営しており、なぜかそこに借金取り(細田佳央太)が居候しているという奇妙な家族関係が描かれる。あるとき、母親がくも膜下出血で入院。麻痺が残った母親を慕い続ける息子(文の弟)や、泊まりがけで看病する文の姿。確執ある遠山父娘の秘められた過去。
昔の昼ドラのような運命のいたずらに翻弄される話であったり、韓国の映画やドラマを思わせたりするような、愛情で結ばれた家族の強い結束力が通奏低音のように流れているのだ。
「本当に『アンメット』の監督?」と思ったが…
また、タイトルの「ダウンタイム」という言葉が、1990年代のレジェンドドラマ月9『ロングバケーション』(フジテレビ)のタイトルに込められた意味のように回収されていくのもおもしろい。
医療用語としての「ダウンタイム」とは、手術を受けてから傷や腫れが癒え、日常の生活に戻るまでの回復期間を指す。しかしドラマでは、必然性のある停滞期、であり、傷ついた心や体が癒えるまでの「お休み」を意味している。いや、まさか、終わりにきて平成の月9を思い出すとは思いもよらなかった。


※ログイン後、コメント入力が可能です。