演出を手がけたのは、Yuki Saito監督。カンテレこと関西テレビ制作のドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』で、記憶を失った医師が医師を続けることができるのかという難問に真摯に向き合い、人間と人間の関係性を繊細に描いて高く評価された(『アンメット』の杉咲花と若葉竜也が『ダウンタイム』にカメオ出演している!)。
その監督の作風と、エグみ満載の『ダウンタイム』は、手術シーンの撮影や編集テクニックしか共通点がないのではと、最初はほんとうに同じ人の作品なのかと首をかしげたくらいなのだが、見ていると合点してくる。やっぱり単なるエゲツない美容整形ものではないのだ。
「脱ルッキズムの精神」と現実の「整形カジュアル化」との矛盾
このまま麗しき人間ドラマとして収束していくかと思いきや、第7話のクライマックスには観客を突き落とすような渾身の「クリフハンガー(次が見たくなるための引きの仕掛け)」が用意されている。
エンターテインメントとしてのサービス精神を決して忘れない『ダウンタイム』。完成度が高く、見て損はないと太鼓判を押せる。だが、筆者が最も興味を引いたのは別の部分だ。
作中では、研ナオコや安達祐実が演じる人物がビフォーアフターで劇的な変化を遂げ、渡部篤郎や永作博美が演じる人物の若き日の姿も特殊メイクや最先端のVFX/CG技術によって精緻に再現される。現代の映像技術を用いれば、画面上の顔などいくらでも変更可能な時代だ。どこまでリアルでどこまで作り物なのか境界がどんどん曖昧になっている。
顔を変えることは、もはや「神の領域に触れる禁忌」ではなく、洋服を着替えたりメイクを変えたりすることと地続きな「カジュアルで前向きな行為」に思えてくる。それこそ韓国は整形があたりまえと言われている。日本にもその影響がじわじわと押し寄せてきているような気配もある。すでにシミ取りや歯列矯正には罪悪感はないだろう。ヒアルロン酸注入なども許容範囲であろうか。
極上のエンターテインメントの皮をかぶった『ダウンタイム』は、脱ルッキズムの精神と現実の整形カジュアル化との矛盾に問いを突きつけてくる。


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